あちゃー(´・ω・`)という感じの記事があったので認識を再確認するため考えます。釣りのような気もしますが敢えて釣られてみます。
『コストはバランス型ファンドを選ぶうえで最も重要な要因ではない』
『リスク資産の比率に関わらず、コストがリターンに与える影響は軽微』
『株高・円安などを背景にリスク資産のリターンが改善している局面では、コストが運用成績を左右する要因にはなりにくい』
例えば世界経済インデックスとその派生型のように株式の比率を何通りか揃えているバランス型を見ると、一般に株式の比率が高ければ信託報酬は高く、逆もまた然りです。リーマン直後を成績の基準に取れば現時点で株式は総じて好調のように見えますので、株式比率の高い、つまりコストの高いバランス型が上位に来るでしょう。もちろん記事でも「リターンが改善している局面では」と注釈していますがそりゃ株式が好調だった期間に株式の割合が多いほど成績がよくなるのは当然です。
試しにこの記事に記載されている上位3ファンドと世界経済IFの推移を見てみます。今回はYahooのチャートを引用させていただきます。分配金が入っていないようなので参考までですが。世界経済IF(64315091)も2009/01/16設定なので5年の期間が取れます(もう5年経ってしまったんですね。早いですね。。)。
【5年@2014/03/07(Yahooより)】
知りたいのは、例えば2009年頃のような暴落直後に同じ主張ができるかどうか。また20年、30年後はどうなっているか。
「重要なのはアセットアロケ」ということが言いたいのはわかりますし、アセットアロケが重要なことに異論はありませんし、そこにコストを絡めることも必要です。しかしそれを軽微と論じるから訳が分からなくなる(格付けでビジネスしてると高コストも持ち上げないといけないから大変ですね)。1σを15%とするとこの5年間は過去株価推移の+2σ(約2倍)くらいで来ているので、「コストの1%なんてゴミでしょう」。普段からシグマで稼ごうとするとこういう考え方になるのではないかと不安になります。
無数にあるファンドの中で上位だけでは判断できません。コストの高いファンド低いファンド、それぞれの成績の平均とそのバラツキを取り、コストの高いファンドが何シグマの有意差でコストの低いファンドに対して優位なのか言えばいいと思います。高コストと言うからにはアクティブファンドのことを言っているのでしょうが、そもそもリーマン後から株価が2倍3倍になる中でアクティブが時価加重「程度」のインデックスファンドに負けてもらっては困ります。
とは言っても有意差まで確認するのはしんどいので、代わりに上のグラフの期間を変えて見てみます。
【2年@2014/03/07(Yahooより)】
【1年@2014/03/07(Yahooより)】
リーマン直後2009年の爆上げが現時点の5年リターンに効いているようです。それを2年、1年としていけば見え方も変わってきます。もちろん20年、30年後も違った形になっているでしょう。
個人的には、ある事象が起こった後に、それだけに適用されるような近視眼的な議論をなるべくしないように心がけています。例えば暴落で相関が一時的に上昇したから分散投資は終わりだとか、暴騰したからコストよりアセットアロケが重要だ、といったものです。特定期間の状況に関わらずアセットアロケや分散は重要(好不調を互いに補うのがアセットアロケ)ですし、言わずもがなコストも重要です。目先の変動が目立って相対的に見えにくくなっているだけで、この間も金融機関にはコストを払い続けています。
自分としては、種々の状況に対して一般的で偏りのない視点で議論できないか考えて記事を書いています(ブラジルブラジルうるさいのは置いておいて(´~`;))。その最たる例が等配分の議論で、一番にはなれないけどシグマや平均に対して理論的根拠をもち、様々なケースに柔軟に対応できるものであるからしつこいくらい取り上げています。ちなみに等配分は特定期間のよしあしの影響を排除した平均が得られるため、分散の「結果論」を回避することができると考えています。
ところで勉強やスポーツでは一番を目指すべきだと思いますが、運用に関してはその必要はないです。運や確率が絡みますし、マイナスのリスクが存在するから。「まぐれ」に賭ける必要はなく、統計的に押さえられる部分を確実に取りにいけばいいと考えます。ある意味断定することを避ける逃げの理屈ではありますが、そもそも断定する必要がないので。
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