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長期投資における元本割れの確率

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長期投資における元本割れの確率

対数正規分布の考察から、元本割れ確率は時間とシャープレシオ(SR)のみに依存することがわかっています。

f(n)/f(0)=exp[(μn+a×σ√n)]=1より

元本割れσ:a=-(μ/σ)√n

元本割れ確率:F(a)=[1+erf(a/√2)]/2 ※erf(x):誤差関数

つまりシグマと相乗平均リターンの大きさによらずその比で決まります(無リスク資産のようなSRのオフセット成分および積立は考慮していません)。これをもとに元本割れ確率と元本割れσを求めます。元本割れσとは確率を正規分布の何シグマか(上式のa)で表したものです。正規分布であればaと確率は一意に対応します。

【元本割れ確率】

【元本割れσ】

以下はZ軸に対して垂直の平面から見たものです。

【元本割れ確率(flat)】

【元本割れσ(flat)】

3Dはイメージが掴みやすい一方で数値の読み取りが困難なので、以下の2つの断面を切り取ります。

【時間依存(SR=1/3の断面(例えばシグマ=15%、相乗平均リターン=5%に相当))】

【SR依存(n=30の断面)】

代表的な値を抜き出して表としてまとめます。

【元本割れ確率(一覧)】

【元本割れσ(一覧)】

【考察】
私がよく例に用いるSR=1/3で30年投資したときの元本割れ確率は3.4%(-1.8σ)となります。また非課税口座の5年では22.8%(-0.7σ)です。どちらも割と小さくない感覚です。

また平面図やテーブルからわかるように元本割れ確率はSR=0(相乗平均リターンがゼロ)を軸として対称(奇関数)です。

今回の結果から次のように言うことができます。「元本割れ確率をリスクと定義した場合、長期投資でリスクは低下する。ただし相乗平均リターンが正の場合に限る。」

このように許容できるタイムスケールと確率に応じて資産設計を行うことが重要ではないでしょうか。

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