いつもと違う相関を考えてみたいと思います。
円安の割にガソリン価格が下がっています。雪山の季節に年間走行距離の多くを走るのでこのタイミングは助かります。前々から原油価格と小売価格がどれだけリンクしているか不思議に思うことがありましたので調べてみます。
原油価格は米国EIAのWTI、ガソリン小売価格(レギュラー、全国平均)は資源エネルギー庁からもらってきます。円換算の為替は日銀の米ドル円をもらってきます。為替で律速する1998/01/12から2014/12/22までのweekly。
【原油価格とガソリン価格の推移】
こうやって見るとガソリン価格というものはほとんどWTIと同じです。これを時系列ではなく散布図にしてみます。
【原油価格とガソリン価格の相関(+4w)】
上段が米ドル建てのWTI、下段が円建てのWTIを横軸に取ったもの。為替換算の有る無しで分布のバラツキはほとんど変わりません。つまり今回の円安はほとんど効いていない、換言すれば原油価格の変動に比べて為替変動は効きにくいとも言えます。しかしながらこのプロットの縦軸のメモリは20円であり、例えば1バレル80ドルでもガソリン価格は30円程度バラついています。分母の百数十円に対して相対的な誤差は小さくなく、ゆえにそれほど良い相関とも思えない。
ここでWTIがゼロに突き当たる時の切片が約80円ですが、これがおそらくガソリン税(53.8円)と販売店の収益なのだと推測されます。また上段の傾きが約0.74、この数ヶ月で原油価格は40ドルほど下がっているので40×0.74=30円、その間ガソリンは20円程度の下落なのでだいたいコンシステントです。同様に下段の傾きは約0.008、1バレル=159リットルとすると1/159=0.006であるため、おおよそ原油価格がそのままガソリン価格に乗っていると考えられます。
ところでこの散布図、WTIに対してガソリン価格を4週間遅らせてプロットしています。原油価格の変動が反映されるまでにタイムラグがあるだろうと思ってずらしてみたら4週後が最も相関の値としては高くなりました(言わば相関係数によるアライメント。これが正しい解析かは置いておいて)。
【ガソリン価格の位相と相関】
原油価格が小売価格に反映されるレスポンスが位相という形で現れていると考えます。この場合は+4wが相関のピークになっています。
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