レバレッジ指数、インバース指数、ダブルインバース指数の性質を時系列データから確認したいと思います。
【単位時間あたり変動率のリファレンス指数に対する相関(2012/01/04-2015/04/30)】
【基準点(2012/01/04)からの変化率の相関①(直線はリファレンスをゲイン倍したもの)】
上の図から、単位時間あたりの変動率はリファレンスに対して傾き2倍、-1倍、-2倍になっていることが確認できます。また下の図から、近年の日経平均株価のようにリファレンス指数が一方的に上昇するとレバレッジ指数はゲイン倍以上に上昇し(赤い点がオレンジの直線から上方乖離している)、インバース指数はゼロに漸近する(青と水色の点が-1.00に漸近している)ことがわかります。これが下落方向ではレバレッジとインバースで逆のことが起こると考えられます。
レバレッジ、インバース指数は単位時間あたりの変動率にゲインを掛けるものであり、とある基準点からの変化率が2倍とか-1倍になるものでないと認識しています。例えばリファレンス指数が2倍(+100%)になったとき、ダブルインバース指数は-200%にはなれません(マイナス側は-100%=ゼロまでしか取り得ないから)。ゲインと反対側に変化したときの考え方としては2^(-1)=0.5(-50%)や2^(-2)=0.25(-75%)以下になるような逆数(マイナスのベキ)の関係だと思います。
【基準点(2012/01/04)からの変化率の相関②(インバース側リファレンスを逆数に置換)】
ところでこのデータ期間からはレバレッジインデックスの特性である「逓減」がよくわかりません。そこで「消失リターンのポンチ絵」で同じことを考えてみます。
【レバレッジ、インバースインデックスの減価特性】
リファレンス指数が±10%の変動を繰り返すとしてそれぞれ2倍、-1倍、-2倍のゲインを掛けています。これを見ると消失リターンを考察した時の±5%と±20%と同じ現象が確認できます。つまりレバレッジ指数は「消失リターンをエンハンスしたもの」と捉えることができます。
【考察】
数学的には「a」をゲインとした時に、レバレッジインデックスは標準偏差がa倍されると考えることができます。
ゆえに前者の変化率は「(1+aσ)^n-1≒1+anσ+・・・-1=anσ+・・・(Taylor展開)」となり、リファレンスを表す「nσ」のa倍に二次以降の成分が加わりa倍以上になりうることがわかります。
また後者は消失リターン「(σ^2)/2」を「σ→aσ」で置き換えることで「(a^2σ^2)/2」が得られます。つまり掛けたゲインの自乗で相乗平均リターンが失われることがわかります。例えば2倍のレバレッジ指数ではリファレンスに対して「a^2=2^2=4倍」の消失リターンが発生することになります。
つまりレバレッジにより相加平均はa倍になるがリターンの消失もa^2倍になるため相乗平均は「g'=ar-(a^2σ^2)/2=a[r-a(σ^2)/2]」となり、ノンレバレッジ「g=r-(σ^2)/2」の単純なa倍とはならない。
【まとめ】
①リファレンス指数が一方向へ変動する場合
→ゲイン倍以上にブーストされる
②リファレンス指数が上下動を繰り返す場合
→ゲインの自乗で相乗平均の減価が発生する
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