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等配分と時価加重に関する考察

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等配分と時価加重に関する考察

ここで言う時価加重は「市場効率性(効率的市場)」に置き換えることができるとします。時価加重はウェイティングという意味ではなく、ただ分布に従ってバラついているだけと考えたらどうなるか、という考察です。

イコールウェイトの理論はスタートがイコールであることが重要という話であって、時価加重とは異なる土俵の議論であることが最近の考えです。

①時価加重とは
→とある集合がとある確率分布(対数正規分布)でバラつくこと
②イコールウェイトとは
→買い付け時に各要素に等配分すること

すなわち市場効率性や時価加重といった概念を「市場を構成する集合の確率分布が対数正規分布すること」と定義するとつじつまが合うのではないかと考えています。換言すれば市場効率性や時価加重は変動や確率分布であり加重方法ではないと考えることを意味します。そして売買時やリバランス時のウェイティングを等金額加重と考えるものです。そうすると時価加重基準の議論をする必要はなくすべてイコールウェイト基準にできるのではないか。なお、常に等配分リバランスすることは②の派生であり、単なる頻度の問題であると理解しています。

時価加重、イコールウェイトとも加重、ウェイトという言葉なのでこれまで混同して考えていました。等配分は常にリバランスしなくてもある程度放置することで数学的な性質が顕現します。その間の変動は時価になります。しかし、それはインデックスの時価加重とは異なる配分のはずです(スタートの配分が違うから)。

対数正規分布を仮定できれば、あとは波動砲と等配分の議論に落とし込むことができます。これを「波動砲の重ね合わせ」で表現すると以下のようになります(r=7%、σ=20%)。

【①通常波動砲の図】

【②連続波動砲の図(n=5ピッチで1にリセット)】

【③連続波動砲の図(n=5ピッチで相加平均値にリセット)】

とある周期で波動砲をリセットして「連写」したものです。この場合はn=30の波動砲をn=5の間隔でウェイティングし直しています。間隔はこれに限られるものではなくさまざまな周期を取り得ます。

それぞれのタイムスケールで等配分はシグマを極小化し(等シグマ等相関を仮定)、分布の平均値を得ることができます。特に①と③の図を見ると、平均値のラインは変わりませんが全体として±1σ、±2σのレンジが狭まり、中央値のラインも平均値に近くなっています。ゆえにこのプロットもイコールウェイトの合理性を表現するための一例になりうると思います(無限に分割した極限で波動砲が平均値に一致する)。

するとスタート時の等配分が未来の相加平均を決定し、偏った配分からスタートする時価加重(相加平均のまわりでバラつく)に対して確率(平均値の確度)で優ることになると考えられます(参考「加重平均の平均値への収束について」)。これがインデックスのウェイティングであり、イコールウェイトインデックスの本質ではないかと考えています。

つまり「等配分からスタートした確率振幅(対数正規分布)としての時価加重ウェイトは意味のあること」だと思いますが、「過去からの変動の結果である時価加重を新規投資のウェイト(アロケーション)に用いるのは統計的根拠が無い」という考えです。現在の時価ウェイトは結果としてとある基準からとある確率分布にバラついただけであり、時価(市場が付ける価格)が正しいか正しくないかとか割高割安とか定性的な議論をする必要も無いと考えています(時価に関係なく等分して持つので、分布さえ構成されれば正しい価格形成ができようができまいがどうでもいいという考え)。

インデックスファンドにおいて時価総額加重平均が採用される理由は投資可能性(売買における流動性)とコストがメインであり、少なくとも私には統計的な理由は思い浮かびません。また時価加重はその時点の結果であって将来の変動を予測するものではありません。しかしながらコストと流動性を無視するわけにはいきませんので、イコールウェイトもコストに影響の無いような頻度とキャッシュフローによりできる限り等配分を維持していただければと思います。

時価加重をこのように考えると、インデックスファンドも常にイコールにリバランスする必要はないと思いますし、買付時の配分が等金額であれば後は放置でも問題ないと考えています。コストまで見据えると理想はウェイトをリセットした新規の時価加重インデックスか、自分が購入する時や日々の売買の内部で等配分してくれるインデックスファンド。ただ後者は純資産総額や流入出量によって特定のインデックスに追従させることは困難と考えられます(米国ETFのRSPはおそらく正攻法でイコールウェイトを実現していると思われます)。そういうインデックスファンドもアリだと思いますが、現状現実的には個人で閉じることのできる資産配分(アセットアロケーション)で実施しておくのがよいと思います。ゆえに今のところ等配分積立が最も合理的であると考えます(実際のアセットでは等シグマ等相関は成り立ちませんが)。

【まとめ】
「瞬時に反映される」「価格が放置されるわけがない」。このような「効率的市場仮説」という定性的で意味が分からない概念も「構成要素を対数正規分布させること」と定義する方が合理的でロジカルであり、定量的な理論を構築しやすいと思います。割高割安と表現されるように個別要素の価格が正しくなくても全体として分布が形成されれば効率的と言えると考えます。非時価加重インデックスはそのような不確定な理屈を拠り所にするのではなく、不確定性の中でポテンシャルに意味付けを行う統計インデックスに論理性を見出しています。

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