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インデックス・ドライバー

米国ETFのAdvantage -Fund of the Year 2015-

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米国ETFのAdvantage -Fund of the Year 2015-

投信ブロガーが選ぶファンドオブザイヤー2015が発表されたようです。


【FOY2015について】
素人の感想で申し訳ありませんが、個人的には票を入れさせていただいた「iシェアーズ最小分散」と「eMAXIS8資産均等型」が入っておりよかったかなと思います。最小シグマがここまで来るとは正直思っていませんでしたし、eMAXIS8も上位から消えたりしないでよかったと思います。また20番目までには「STAMグローバル株式」や「eMAXIS新興国株式」も残っていて、コストだけに流れない継続的なファン(?)がみえることもよかったと思います。

前回「ニッセイ外国株式インデックス」に水を差させていただいて、今回はどうしようと考えていました。無理にやる必要もないのですが、コスト以外のトラッキングエラーや課税ロスも含めたトータルの視点が重要と考えていますので。

ただ今回の上位に来ると想定された「三井住友DC全海外株式インデックス」は、すでに新興株部分の先物運用(配当なし)による継続的な下方乖離を見てしまっており、どうしようかという状態です(下記「ボクにもありました」参照)。

昨年のインデックス投資界の状況を鑑みると、インデックスファンドのさらなる低コスト化が進み、海外ETFの優位性が失われつつあると認識しています。なので、あまり損得計算に囚われるのはゲスの極みになりそうでイヤなのですが、現状のアドバンテージを定量的に確認しておきたいと思います。

国内IFはニッセイグロ株(運用管理費用0.24%+税率8%=0.2592%)、海外ETFはVT(経費率0.17%)で外国税額控除なし/ありとします(信託報酬と実質コストでアンフェアなところはご了承ください。国内IFにおいてほぼ現状のベストということで。三井住友全株もほぼ同等)。国内IF(DC)は一般の口座との違いを見るために国内IFと同コスト、国内ETFはMAXIS海外株式ETF(1550)とします。

【分配と課税の違いマトリクス】
国内IndexF 国内IndexF(DC) 国内ETF 米国ETF
外国税額控除
なし
米国ETF
外国税額控除
あり
分配の有無 無分配
(とする)
配当収益を
全額分配
現地配当課税 (無分配でも)
10%源泉徴収
配当分配時に
10%源泉徴収
配当分配時に
10%源泉徴収
(これを国内所得税
から控除
→外国税額控除※1)
国内分配課税 (分配すると)
20%源泉徴収
非課税 配当分配時に
20%源泉徴収
配当に対する
売却時
譲渡課税
あり
(20%)
なし
(DC)
なし
(分配済み)



















例えばグローバル株式で配当を3%(キャピタルゲインはゼロとする)として課税や経費率でどれくらい侵食されるか(=複利ロスの差とみなす)を指標に成分分離しながら考えてみます。

【一般の課税口座の場合】
国内IndexF 国内IndexF(DC) 国内ETF 米国ETF
外国税額控除
なし
米国ETF
外国税額控除
あり
経費率 0.2592% 0.2592% 0.27% 0.17% 0.17%
配当 3% 3% 3% 3% 3%
現地配当課税 10% 10% 10% 10% 0(※1)
国内分配課税 0 0 20% 20% 20%
課税後配当 2.70% 2.70% 2.16% 2.16% 2.40%
課税後配当−経費率 2.44% 2.44% 1.89% 1.99% 2.23%
配当に対する
売却時譲渡課税
20% 0(DC) 0(分配済み) 0(分配済み) 0(分配済み)
譲渡税控除後
(20年後)
49.58% 61.98% 45.42% 48.30% 55.44%
譲渡税控除後
(20年後)年率
2.03% 2.44% 1.89% 1.99% 2.23%


















(前提)
・国内インデックスFは現地配当課税10%、無分配を仮定して国内分配課税はゼロ。
・米国ETFは外国税額控除により現地配当課税をゼロとする(※1)。国内分配課税は20%。取引手数料と為替手数料は考えない。


【非課税口座の場合】
国内IndexF 国内IndexF(DC) 国内ETF 米国ETF
外国税額控除
なし
米国ETF
外国税額控除
あり
経費率 0.2592% 0.2592% 0.27% 0.17% 0.17%
配当 3% 3% 3% 3% 3%
現地配当課税 10% 10% 10% 10% 10%
国内分配課税 0 0 0 0 0
課税後配当 2.70% 2.70% 2.70% 2.70% 2.70%
課税後配当−経費率 2.44% 2.44% 2.43% 2.53% 2.53%
配当に対する
売却時譲渡課税
0(非課税口座) 0(DC) 0(非課税口座) 0(非課税口座) 0(非課税口座)
譲渡税控除後
(5年後)
12.81% 12.81% 12.76% 13.31% 13.31%
譲渡税控除後
(5年後)年率
2.44% 2.44% 2.43% 2.53% 2.53%



















(前提)
・非課税口座は分配に対して非課税(非課税枠で再投資できるとする)。
・しかし課税されない=外国税額控除が適用されない(と考えられる)ので米国ETFは現地配当課税10%が復活(するとする)。


※1:「所得税の控除限度額=その年分の所得税の額×(その年分の国外所得金額/その年分の所得総額)」で決められる上限があります。

【結果】
国内IFがコストダウンしてもまだ税額控除ありの米国ETFにコストメリットがありそうです。さらにIFはここから実質コスト分やトラッキングエラーがあるのでさらに厳しい。別途キャピタルゲインがあれば無分配の国内IFはもう少し勝負できると思いますが。あと同じ分配ありの国内ETFと米国ETFとのギャップも興味深い結果だと思います。やはり分配で利益確定しながら配当を取り戻せる米国ETFは強いですね。

【まとめ】
個人的には給与は源泉徴収でブログの収益といった副収入もないのに税額控除のためにわざわざ確定申告するのがイヤなので米国ETFはずっと控えてきました。専用証券口座が増えるのも避けたいので。あと分配、市場価格形成など思想的にETFは長期投資に相応しくないと考えるので。今回の検討結果と諸般の手間を考えると非課税口座や確定拠出年金がある分には米国ETFは必要なさそうです(あくまで個人的には)。

ゆえに非課税口座の進化を希望しています。特に枠の増額の前に損失ロールオーバーの可能性の排除(恒久化)をお願いしたいと思っていますので(参考「若年層を含めた長期的な資産形成のために」)、関係の方々におかれましては、実現のほどよろしくお願い致します。

あとインデックスファンドについては、個人的には論理的な背景に基づき数学的に設計された最小分散のようなインデックスの方が「普通」だと思っています。私も技術者の端くれですけど、そういうプロセスに則って研究開発したり製品設計するからです。ゆえに今後としましてはこの中にもっと統計インデックスが入ってきてほしいと思います。もちろん低コスト、低トラッキングエラーとのアンドが理想です。

最後に、私がひとこと申し上げておきたいのは、

「コストは重要ですがコストだけで判断すると足をすくわれるかも知れませんよ」

ということです。

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