レバレッジ/インバース型は個人的には好みませんが、「消失リターン(ハイリスク・ローリターンの法則)」と絡めて考えると統計的におもしろいと思います。
単位時間あたりの変動率にゲインをかけるレバレッジ/インバース型は相乗平均の減価も加速されます(標準偏差がゲイン倍されゲインの自乗で相乗平均が消失する)。この特性により、レバレッジ/インバース型は通常の指数より激しく減価していきます。また期待値をプラスに仮定するインデックス投資ではインバース型は定常的に減価していくことになります。
【疑問①】
「減価し続けたらどうなるのか?」
無限にゼロに近づくのか。しかしながら、たとえゼロに漸近し続けようとしても指数や基準価額の分解能によっては四捨五入や切り捨てでゼロになる可能性もあると思います。
・・・ああ、だから信託期間が有限でしかも3年とか短く設定されているのか(SBI3.7倍等)。いや、野村AMのダブルインバース(1357)は無期限のようです。
とりあえずNikkei Inc.からデータをいただいてきて実指数の変動を確認すると以下になります。
【Leveraged Inverse Indexes】
ダブルインバースでもゼロに張り付くまでは至っていないようです。しかし「×(-1)」が「×1」に対して1を挟んで非対称であることが確認できます。特に「×(-1)」がより下側にあることがわかります。また「×1」が1に戻っていても他の「×2」「×(-1)」「×(-2)」はどれも1以下です。これらがレバレッジ/インバース・インデックスの減価特性を示していると考えます。
【提案①】
「(ダブル)インバースETFを「売り」で長期保有すると減価を味方につけられるのか?」
減価を数学的に表現すると、
◆ノンレバレッジ
g=r-(σ^2)/2
◆レバレッジ/インバース型
g'=ar-(a^2σ^2)/2=a[r-a(σ^2)/2] (a≠0)
ここでg'<0と置くと、リターンがマイナスなので売り持っておくとよい領域になります。この時のゲインとシグマと相加平均との関係を求めておきたいと思います。
a[r-a(σ^2)/2]<0より、
(i)a>0のとき
r<a(σ^2)/2
(ii)a<0のとき
r>a(σ^2)/2
rがこの範囲内なら相乗平均が負になる(売り持てば利益になる)ことを表します。r(相加平均=期待リターン)は基本的に正を仮定すると思いますので、aが負(インバース型)でかつ絶対値が大きい方が確率的に起こりうる可能性が増すと考えられます。
つまり「減価の増幅」はレバレッジ型でも起こりえますが、相乗平均の減価はマイナス方向に一方通行なので、レバレッジ側とインバース側でゼロ点に対する非対称性が生じると考えています。
ここでゲインであるaが2と-2の場合における相乗平均の振舞いをシグマと相加平均の関数としてプロットしてみます(色がシグマとなります)。
◆a=2
◆a=-2
例えばシグマを20%、相加平均を5%とするとa=2の+2%よりa=-2の-18%の方が相乗平均の絶対値は大きくなります。これが「消失リターンの非対称性」であり、インバース型を売りで持つことの根拠となります。
ただし、信用取引とかよく知らないので他に見落としがあるかも知れません。信用取引は継続的なコストがかかるのでしたっけ。逆日歩?とか?そもそもインバースETFって空売りできますよね?
これがうまくいくならとっくにメジャーになるか禁止されるかするはずなので理屈上ダメなのかも知れません。それができないように仕組みなりパラメータが設定されているような気がします(aが-3とか-4くらいになるとコスト負けしない?すぐに指数がゼロに張り付きそうですが)。
※提案と言っても保証はありませんし責任も取れませんので宜しくお願い致します。
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