原油価格が低下しています。冬場は雪山に行くのでシーズンで5000kmほど走るのですが、今年は昨年、一昨年に比べてガソリン価格が3割ほどお安くなっています。150円/Lくらいだったのが100円/Lくらいの感覚です。
前に原油価格とガソリン価格の相関アラインメントを確認したデータを引っ張ってみると(参考「
原油価格とガソリン価格との相関、というか位相ずれ」)、WTIが現在1バレル30ドルくらいなのでグラフからガソリン価格はだいたい100円/Lちょっと(4週のディレイがあります)。為替で多少の上下はあるにしてもかなりコンシステントに思います。
ウチのクルマ(レガシィ)の燃費でだいたい換算すると、シーズンで1万円以上のガス代が浮くことになります(もちろん貴重な地球の資源を消費しているわけですから安すぎても申し訳ないですし大事に乗りたいと思っています)。
なぜガスの話を出したかというと、原油価格に連動するETFを持っていればガソリン価格が上下してもヘッジになると思っていた時代があったからです。過去形なのは定義によって意味が変わると考えるようになったからです。
【ヘッジが成立する場合】
分散投資もある意味「ヘッジ」ですよね。調子の良いものもあれば悪いものもある。構成要素がお互いに補完し合いながらバラツキを低減させる。それが分散投資。しかしそれだけではプラスマイナスゼロです。分散投資はバラツキの中心に正の期待値(配当、金利など)が存在するから成立するものと考えています。これが投資と投機を区別する最大の要因と理解しています。
「為替のヘッジ」も為替変動のみキャンセルして原資産の配当なり金利なりが残れば成立すると思います。もちろんこの場合はヘッジコストに注意する必要があります。
ここで昔知人に言われた言葉を思い出しました。分散投資に関して、
「上がるのと下がるのを持っていたらトータルでゼロじゃん」と。
その言葉の通り、確かにインデックス投資も期待値がなければただの投機になってしまいます。
先日の「収束波動砲」で標準誤差による時間依存のグラフを作りました。時間の場合はエクスポネンシャルされるので最終出力はあの通りにはならないですが、横軸を分散投資の構成数(N)に置き換えるとあの概念がそのまま流用できると思います。
【分散投資型収束波動砲@システマティックノイズ≠0】
【分散投資型収束波動砲@システマティックノイズ=0】
N増しすればノイズのランダム成分は低減していきます。この図は相加平均(5%)、相関ゼロで均等配分を仮定しランダム成分(15%)とシステマティック成分(15%/0%)を分離しています。このように数増しすることでリスクの中央に存在する相乗平均(ここではこれを期待値と定義)の抽出精度を上げ、リスクに対する期待値の割合を向上させることが分散投資と理解しています。
また「分散投資型収束波動砲@システマティックノイズ≠0」は「オメガの拡散波動砲」ライクに平行光に近づくことがわかります。
出典 youtube.com/watch?v=ZZGHX1ejWoI
【相乗平均の消失とシステマ・ランダムノイズ】
(森村さんのブログのようにTeXが使えるといいのですが・・)
【シグナルノイズ比(S/N)のN依存】※青:σs=15%、赤:σs=0%
ただし資産運用はシステマティック成分によってシグマ(ノイズ)と期待値(シグナル)の効率が悪すぎるのが難点と認識していますがそれはまた別の話。
【ヘッジが成立しない場合】
一方、原油などのコモディティは配当などのいわゆるプラスサムが存在しない。ガソリン価格の上昇/下落に備えて例えば原油ETFを持っておけばヘッジになる、という考えは、確かにトータルの収支バラツキは抑えられるはずですがほぼ完全に相殺されてしまいプラマイゼロのゲームと考えられます(実際は連動性とコストで不利なセンスか)。
ゆえにこの場合はインデックス投資の求めるようなヘッジにはならないと理解しています。
まあガソリンの場合のヘッジは期待値を期待しているわけではなく、家計や財務に対して影響をなくするというのが意図なら目的を達することになります。したがって成立の有無は「ヘッジ」という言葉の意味次第というところもあります。
【まとめ】
少なくともインデックスによる長期分散投資はプラスの期待値が存在することにより意味を持つ行為と考えています。
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