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効率的フロンティアの経時変化3.0(ウェイト最適化による統計量のコントロール)

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1. 無題

いつも楽しく購読させていただいています。配分固定とシグマの固定の比較楽しみにしています。

スマートベータ関係でニッセイ基礎研究所に面白そうな記事がありましたのでjfyi: http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=52547

2. >通りすがりさん

コメントありがとうございます。そう言ってもらえるとありがたいです。

ご期待にどこまで添えられるかわかりませんが最善を尽くしたいと思います(その前に肩透かしのような記事を書く予定ですがご了承ください)。

ニッセイ基礎研もタイムリーに興味深い資料ですね。まだ内容を詳細に理解していませんが、どこかで考察してみたいと思います。

以上、よろしくお願い致します。

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効率的フロンティアの経時変化3.0(ウェイト最適化による統計量のコントロール)

三菱UFJ国際投信から「リスク水準を固定しリターンを最大化する」というバランスファンドが設定されるようです。


ここで用いられている「最適化バランス」とは、とある時点の統計量に基づき、シグマを制約条件、リターンを目的関数として都度ウェイトを算出し直すという意味と考えられます。有効フロンティア上のイメージは以下のようになると思われます(赤色の十字で表示)。

【「最適化バランス」のイメージ】
※「ウェイト解なし」の領域も含まれたイメージです。またあくまでイメージであり絶対値は異なります。


確かに、リスク、リターン、相関係数などの統計量はサンプリングタイミング(算出期間)によって変動します。ゆえに同じ配分でも時間の経過とともにポートフォリオの合成リスクリターンは変化していきます。またポートフォリオを放置していると時間が経過するにつれてその配分は変化していきます。

この事象については「効率的フロンティアの経時変化2.0」等で考察したように、例えば同じ20年分の年率パラメータを用いて有効フロンティアを描いても統計量の経時変化によってパレート解はFIXしないことを確認しています。

今回のeMAXISバランスファンドはこの課題に対して「リスクコントロールリバランス」を実施するものと考えられます(参考「リスクコントロール指数とリバランス」)。各資産のシグマ等の統計量は経時変化するので、それを時間の関数として捉え、その時々(この場合は年1回)のパラメータで最適化しようというものです。逆に言うとウェイトを一定にする通常のリバランスではシグマはその時々で変わってしまうことになります。

例えば合成後のシグマを6%固定(ウェイトはそれに応じて可変)にしたものと、ウェイトを均等配分で固定(合成後のシグマは経時変化に応じて変動)にしたものの毎年の変化をプロットしてみます(赤線が「有効フロンティア上のシグマ固定」、黒線が「Equal」)。

【経時変化に対するウェイト最適化のイメージ(シグマ6%の例)】
※「ウェイト解なし」の領域も含まれたイメージです。また2014年以降のデータはめんどいので更新していません。

このように有効フロンティアの経時変化とともに、(均等配分に限らず)ウェイト固定にしたポートフォリオのリスクは変動し、最適化されていない限り有効フロンティア上のパレート面にも乗らないのに対して、「最適化バランス」はシグマ6%かつリターン最大のパレート面を維持し続けています。

【考察】
今回のファンドのような「有効フロンティア上のシグマ固定」の他に「最小シグマ」や「SR(リターン/リスク)最大」でも同様に時間依存に対して最適解を求めることができます(「Equal」以外の点はver2.0で求めてはいたが表示していなかったものです。なお「リスク低減率」は私の独自規格なのでスルーしてください)。

ここで重要な点は、アセットアロケーションの特性値(合成リスク、合成リターン等)の算出や、シグマ固定/最小分散などの統計量情報に基づいた最適化はパラメータの求め方や条件(期間、タップなど)によって結果が変わりうるということだと思います。

一方で例として挙げた「Equal」はウェイト固定なのでリスクリターン平面を時々刻々とランダムウォークしていることが確認できます(「Equal」に限らずウェイト固定なら同様)。なお、均等配分(相加平均)は一意に決まっているため任意の恣意的な加重に関係なく点を打てるので重宝しています。

今回設定されたファンドはパレート最適解をファンドが自動で算出し、経時変化にも自動的に対応してくれるものと理解しています。自分で最適解を算出するのは厄介なので(だからエイヤで相加平均でいいやと思っているのですが)、これを数学や統計学に基づいてパレート解の探索をファンド(運用機関)側がやってくれるのはありがたいと思います。

指数のリスコン(リスク資産と非リスク資産)もnを2資産にして片方のシグマと相関をゼロにすれば同じアルゴルが適用できると思いますが、nが3以上の複数のリスク資産同士で相関のパラメータが入ってくることが統計上の差別化であると考えています。

【まとめ】
資産運用を定量的かつ機械的に行う上で「ウェイト最適化による統計量のFIX」は重要な概念と考えています。

【疑問】
ただしウェイト固定と統計量固定のどちらが合理的か、というのは別の検討課題と考えられます。つまり配分を固定するのとシグマを固定するのとどちらがよいのでしょうか。

これについてはいつかどこかで考えるとして、「とある時点の算出値で最適化しても経時変化し続ける統計量はその先の未来を代表しているか?」というのは議論の余地があると思います。ただ、少なくとも設計に定量的な根拠が無いよりはよほど論理的で理にかなっていると考えています。

毎年パラメータを更新するというのもタップ固定でずらしていくのか固定端で蓄積していくのかどちらなのでしょうか。

【余談ヨルダン】
シグマの水準では個人的にはトップ下の「2列目のマジシャン」的なポジションがよいのでこの中では「MF」一択ですね。まあ現実では「負け男子」ですが。

あと知りたいのはシグマ固定のウェイトをどう算出しているのか。私の場合は有効フロンティアはリターンを変数として出しているので逆です。特に、単純に計算すると解なしが出てくるはずなのでそこをどうケアするのか。数式ではなく総当たりで求めるにしても、8資産から1%ピッチで組み合わせるには8H100=26075972546(約260億)通りになり、計算機を使えばできるでしょうがログが大変な事になりそう。

(関連記事)

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1. 無題

いつも楽しく購読させていただいています。配分固定とシグマの固定の比較楽しみにしています。

スマートベータ関係でニッセイ基礎研究所に面白そうな記事がありましたのでjfyi: http://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=52547

2. >通りすがりさん

コメントありがとうございます。そう言ってもらえるとありがたいです。

ご期待にどこまで添えられるかわかりませんが最善を尽くしたいと思います(その前に肩透かしのような記事を書く予定ですがご了承ください)。

ニッセイ基礎研もタイムリーに興味深い資料ですね。まだ内容を詳細に理解していませんが、どこかで考察してみたいと思います。

以上、よろしくお願い致します。

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