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インデックス・ドライバー

積立と市場平均(時価総額加重平均)は相性が良くない

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積立と市場平均(時価総額加重平均)は相性が良くない

積立に限らず一括でもスポットでも言える話ですが。時間軸方向に配分が変わるという意味で「積立」に着目しています。

例えば、私の相棒であるスバル・レガシィツーリングワゴンを生み出した富士重工業と、世界販売トップかつ日本株の時価総額筆頭のトヨタ自動車。2016/05/20時点において時価18.6兆円のトヨタと時価3.1兆円の富士重工(スバル)とでは時価総額インデックスを買い付ける時に資金の配分が6倍異なります。

より多く配分するというのは、その要素の将来にわたる期待値が相対的に高かったり統計的性質が優れているからですよね?

では現在の時価が将来の成長を約束するのか?
現在の時価がウェイトにこれだけの差を付けるだけの未来を保証するのか?
それを誰がどのように担保してくれるのか?

これがかねてからの私の疑問でした。

【シミュレーション】
簡単のため2資産で以下のようなケースを考えます。

未来①:トヨタが時価2倍、スバルが時価半分
未来②:トヨタが時価半分、スバルが時価2倍

このとき、現在の時価で買い付けた場合と均等で買い付けた場合の指数の変化は以下のようになります。

【未来①】


【未来②】

【テーブル】
時価総額
トヨタ[兆円]
時価総額
スバル[兆円]
時価加重
トヨタ
時価加重
スバル
時価加重
トータル
均等配分
トヨタ
均等配分
スバル
均等配分
トータル
現在 18.6 3.1 0.86 0.14 1.00 0.50 0.50 1.00
未来① 37.2 1.55 1.71 0.07 1.79 1.00 0.25 1.25
未来② 9.3 6.2 0.43 0.29 0.71 0.25 1.00 1.25







【解釈】
時価インデックスを積み立てて未来①になればよかったですが、未来②になれば往復ビンタを食らうようなものです。未来①になる保証はないですよね。逆に未来②になるという確信もない。一方で均等配分は①と②で同値になっています(=バラツキが小さい)。

未来①になるか未来②に転ぶか、将来が予想できないからまんべんなく割り当てるのが分散投資の思想だと思うのですが、時価加重が中心のインデックス投資は残念ながらそうなってはいません。その時価配分に偏りがあるからです。そのアンバランスがたまたまミーンバリアンス的によい結果をもたらすかも知れませんが「今」の時点でそんな確証はありません(確率の問題)。

過去に私が「期待値の分散とEqual Weight」で示したのは、今回の例のように「どちらに転ぶかわからない事象を個々のシグマを等しいと置くことで全体のバラツキを数学的に最小化できる」ということです。

未来がどうなるかわかってしまうなら分散などせずに一方に100%集中投資しますよね。あと最近になって時価総額比率に代わるものが出始めているのもこのような特性に起因すると考えています(要は分散特性に何も配慮されていないから)。

(同様に「未来はわからない」ことを仮定して他に均等配分の持つポテンシャルを考察した総集編が「均等配分の合理性」です。またイコールに限らない一般の極値的ミーンバリアンスの総集編が「定量ウェイツ」です。ご興味のある方はご確認いただけますようお願い致します。)

なお、未来①と未来②の少なくともこの2ケースを平均すると時価も1.25となり均等配分と等しくなります。しかし時価配分は「アタリハズレ」というバラツキ(不確定性)を生じています。もしかしたら「市場と心中できるなら本望」という考えもあるかも知れませんが、当たればいいという概念は「平均」を求めるインデックス投資に相応しくないのではないでしょうか。

【考察】
時価インデックスの積立は(+スポットも)、資産をリスクにさらす時点から偏りを生じさせているので、未来のバラツキを抑える作用が働きにくい、という意味で相性が良くないと考えています。そういう意味で時価総額比率は非効率と思います。

結果論ではなく、そのような不定性を事前に押さえ込むような設計をするのがインデックス投資に求められる要素ではないのでしょうか。インデックス投資はギャンブルではありません。変動を定量的に取り扱い論理的に対策を講じることがインデックス投資の本質と考えています。

もちろん時価総額比率はポートフォリオの管理を「放棄」できるので、ファンドの売買は最少に抑えられ、コスト絡みでベストであるのは揺るぎない事実であり合理と思われます。ゆえに時価はコストや課税的にロスが少なく合理的ですよ、だけなら理解できるのですが、市場は効率的だから市場ポートフォリオが合理的ですよと、さも市場平均が分散特性的にも「万能」であるかのような流れになっているのが気になります。

よく「分散投資が重要」と聞きますが、結局、「分散」という言葉にどこまでの意味や機能を見出すか、ということだと思います。統計的な特性を突き詰めなくても複数の銘柄が含まれる程度であとはコストの方に重点を置くのが時価インデックス、相乗平均の減価やロバスト性まで見据えてインデックスを設計するのが統計インデックス。必ずしもシグマを小さくすることだけがインデックス投資ではないですし、要は立場や考え方によって「最良」は異なるということだと思います。

理論とか論理とかうるさく感じられるかも知れませんが、インデックス投資って自らの都合のいいように理屈を組み立てているように感じるんですよね。都合のわるいことは排除する傾向があるように感じます。インデックス投資はもっと客観的なものだと思っていました。

時価が合理であるという教科書の内容を鵜呑みにするのではなく、客観的な視点で物事を判断する必要があると考えます。時価(コスト)と統計(定量性)、両者のよいところを組み合わせてインデックス投資のポテンシャルをさらに引き出すような前向きな取り組みが必要ではないでしょうか。場合によっては教科書の修正も必要ではないかと思います。

【まとめ】
インデックス投資において時価がベストであるという風潮は、分散投資、あるいは定量性の観点から充分に考えられたものなのか疑問に思います。

インデックス投資は時価の分散特性において「何がどういう風に合理的なのか」「なぜ効率的なのか」を真剣に考える時期に差し掛かっているのではないでしょうか。しかし私はおそらくそれに答えられる人はいないのではないかと考えています。市場平均の理屈は「市場は万能」「市場の価格形成が正しい」という定性的な仮定(願望)の上に組み立てられた理屈と考えられるからです(少なくともそれが成り立つならバリューインデックスは存在しない)。そこに定量性や客観性は存在しません。

誤解の無いように書いておきますと、時価比率で運用するのがいけないのではなく、定量的な根拠や証明もなく万能とする論理構成と、非論理的に他を排除しようとする姿勢が問題なんだと思います。それぞれ一長一短あるのだから、それぞれの強みを認めて弱みをカバーして、インデックス投資をより良くしていくにはどうしたらいいかを考え進化させていく方がよっぽど建設的で希望が持てます

私はインデックス投資はもっと高みを目指せると考えています。

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