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インデックス・ドライバー

トラッキングエラーウォッチ(2016年11月エンド)

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トラッキングエラーウォッチ(2016年11月エンド)

【①規格化基準価額比(メディアン基準)】


最近の低コストインデックスファンドの動向についていっていません。低コストファンドは何かと連動品質にエクスキューズがありそうなのはこれまでの検討でわかっていますし、現状のインデックス投資(パッシブ投資)はがんばる方向に偏りがあると思うので、あまり興味が湧かないというのが理由の一つです。

これまで不定期で行っていた指数への追従性(乖離、コストの影響など)の確認を「トラッキングエラーウォッチ」としてルーチン化できればと思います。また複数のアセットを確認する気はもうないので代表的なクラスであるグロ株のみとします。

本来なら他のウォッチングと同じ9月エンドに集約すべきところ、直前に設定された「アイフリー」の傾向を判断する時間を稼ぐためにこの時期となりました(まだ白馬のスキー場もオープンしていないので、やれるときにやってしまいます)。次回からは9月に実施できればと考えています。

【考え方】
トラッキングエラーと言えば、正確には「(現地源泉課税後配当込み)ベンチマーク指数からのズレ」のことを指すと思います。それは過去にいくつかやっていて、代表的なものは以下になります。


しかしMSCIコクサイの円換算指数を日単位で算出するのはめんどいので、普段はスタムを基準とした基準価額のとある原点からの比の比(規格化基準価額比)、あるいは単位時間あたり変化率の相対値の単純積分(累積騰落率差)を個人的なトラッキングエラーの指標としています(ゆえに正確には「レラティブトラッキングエラーウォッチ」とすべきかも知れません)。代表的なものは以下になります。


ただ基準としているスタムが正しく追従できているかの保証はないので、今回のトラッキングエラーウォッチでは対象ファンドの単位時間当たり変化率のメディアン(中央値)を時系列方向に乗算して指数化した「メディアン基準価額」をトラッキングエラーの指標として追加したいと思います。傾きゼロの基準が対象グループの経費率の「ほぼ平均」になるという狙いです。ある種の「メディアンフィルタ」とも言えるかもしれません。平均値を使わないのは大きく外れた値に引っ張られないようにするためです。

選定したファンドは以下の通りです。

【対象ファンド】
ラベル ファンド 運用管理費用(%/税抜)
STAM SMT グローバル株式インデックス 0.50
eMAXIS eMAXIS 先進国株式インデックス 0.60
ニッセイ ニッセイ 外国株式インデックスファンド 0.20
index-e 外国株式インデックスe 0.50
ノムラ 野村 インデックスF・外国株式 0.55
たわら たわらノーロード先進国株式 0.225
iFree iFree外国株式インデックス 0.21
三井住友(DC) 三井住友・DC外国株式インデックスファンドS 0.16
DIAM(DC) DIAM 外国株式インデックスF<DC年金> 0.25
メディアン(たわら、iFree含まず) 0.50
メディアン(iFree含まず) 0.375
メディアン 0.25
















データはMorningstar Japanから、ニッセイの設定日2013/12/10から先月末2016/11/30、分配は非課税再投資。

「たわらノーロード先進国株式」は2015/12/18設定のようですが、基準価額は土日を挟んで2015/12/21が始まりに見えるのでずらしています(そうしないといきなり2%以上のプラス乖離が発生する)。「iFree外国株式インデックス」は2016/09/08設定です。この二つのファンド追加の時点でメディアン基準価額にも反映し、規格化基準価額比の原点もそれぞれの開始日で規格化することで、スタート位置の違いによるオフセットをキャンセルしています。

冒頭のグラフがメディアン基準、以下がスタム基準です。

【②規格化基準価額比(スタム基準)】

【考察】
なかなか情報量が多くて整理するのが難しいです。

①「メディアン基準」について
各社とも概ね運用管理費用(実質コスト、経費率)の差がそのままグラフの傾きとして現れているように思います。なお途中で低コストファンド二つが基準に追加されていますので、各ファンドの傾きに折れ曲りが生じることはご了承ください。

特に新規の「たわら」はだいたいコスト差通りの傾きで順調のようです。同じマザーファンドのDIAM(DC)とほぼ同じ変動をしていることも確認できます。一方「アイフリー」は3ヶ月弱の記録であるとはいえ、少なくともこの期間では他の0.2%クラスのようなコスト優位性は顕在化していないように見えます。何にせよ設定直後であり、かなり微小な量を議論しているので、判断にはもう少し時間が必要に思います。

またニッセイは2014年の最初のズッコケの後、2016/11/09-10にかけて再びずっこけてしまったようです。米国大統領選挙があった時でしょうか。なにげにスタムも2016/11/09に上方カイリしています。もう少し遡るとeMAXISも2016/06/24に下方カイリしています。これって確か「ブリトゥンの乱」があった日でしたよね。

過度な変動があるような時はトラッキングエラーも発生しやすいということがわかります。

2016/11/09-10については、ニッセイAMの資料にあるTTMの変更があったとしても、他ファンドも同じように思いますし、あるいは他ファンドも指数からはカイリしているのかも知れません。それを確認するには以前やったように自前で円換算指数を求めるか指数の記載された月報なりを参照する必要があります。

幸い今回の資料に2016/10/E-11/11までの市場連動状況が載っており、ベンチマークが2.69%、ニッセイが2.49%。対してファンド基準価額から求めると、スタム:2.82%、eMAXIS:2.70%、ニッセイ:2.49%、インデックスe:2.72%、野村:2.70%、「たわら」:2.72%、「アイフリー」:2.71%、三井住友(DC):2.71%、DIAM(DC):2.71%。

今回カイリのないインデックスeや「たわら」などがだいたいベンチマーク通りなので、TTMに何かあったとしても問題ではなさそうです(指数も影響を受けているとすれば相対的に差が現れないのでTTMによる影響の切り分けまではできていない)。

またこれは以前からですが、ニッセイのみ高周波の変動成分が気になるところです。今回は規格化基準にメディアンを採用しているため、平滑化により従来のスタム基準より精度が上がっていると考えています。

そこで各社の高周波成分の振幅を定量的に確認するために以下の数値化をしてみます。

【メディアン基準からの騰落率の差のヒストグラム】

【メディアン基準からの騰落率の差のシグマ】

プロットの都合上、ヒストグラムは一つの区間に各ファンドが左からシーケンシャルに並んでいますのでご注意願います。分布の特徴としてはニッセイがかなり広がっていて、メディアンに対する一日当たりの変化率が他より著しく大きいことがわかります。シグマ(標準偏差)にすると他ファンドの平均に対して4~5倍の大きさのようです(他は1σで一日当たり約0.005%、ニッセイは0.02%超)。

当初このバラツキの原因と考えていたニッセイの構成銘柄数は最初のズッコケの後に改善されて、すでに他ファンドと遜色ない数字になっていたと思います(少なくとも2015年8月末の月報では1314銘柄で他社同等になっていた)。それでも高周波は残るということはまだそれだけではない要因があるのですかね。やはり高周波成分が目立つことにヒントがありそうです(それが資料にある前日の為替対応なのかは不明)。ただスタムやeMAXISは高周波がないのでトラッキングエラーの真因は異なるかも知れません。

②「スタム基準」について
2016/11/09は基準であるスタムが上方にズレているので他が軒並み下方にズレているように見えます。スタムの場合、向きは結果オーライですが、トラッキングエラーであることに変わりありません。

ニッセイは最初のズッコケで発生したスタムとの約0.3%のビハインドを約2年で順調に縮めてきて、ちょうどスタムをキャンセルしたところでまたやらかしてしまったようです。2年で約0.3%なので信託報酬の効果(概算で0.5-0.39(=0.11)+0.5-0.24(=0.26)=0.37%)はおおよそ機能していることがわかります。

【まとめ】
時価加重の良いところはトラッキングエラーを小さくできるような運用概念であることと考えています。ゆえに、コストやカイリの差が明確に示されますし、裏を返せば少しでも異常があると簡単にわかってしまうということでもあり、運用会社にとっては大変なことだと思います。

余談ヨルダンですが、これが非時価加重になると結構なエラーが出てしまうのではないかと懸念しています。指数の変化そのものが時価とは異なるので多少はごまかせるような気はしなくもないですけど、解析すればわかってしまうと考えています。

低コスト化を引っ張っているニッセイのカイリは、程度としては市場変動による相乗平均のロス(消失リターン)に比べればゴミですが、コストしか見ていないと足をすくわれる良い例だと思います。

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