(※追記:「
時間とリスクの関係(訂1)」で修正しています。)
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リターンとリスク、
相関係数とσに続いて、時間とリスクについて考えます。
よく「リスクは時間とともに減少する」と言われます。筆者も、時間をn[年]とすれば1/nか1/√nでリスクは減っていくのかな?という感覚はあります。
しかし、統計的な考え方ではそうではないと思っています。
リターンとリスクは毎年変わらないものだという認識です。つまり、「毎年資産はリターン分増加し、それを中心としてリスク分バラつく」ということです。
myINDEXさんの資産配分ツールを使わせていただくと、筆者の資産配分では μ=8.2%、σ=18.8%(2010/10現在) なので、この値を用いてシミュレーションをしてみました。
図1:最初に100(万円)入れてほったらかした場合
図2:毎年20(万円)ずつ積み立てた場合
色の違いは元本と期待値(資産の中心値)、それから何σのバラツキを想定した場合の資産の上限と下限です。
例えば、図1では5年後1σ(=68%)の確率で元本を最低20上回っているけど、運悪く3σ(=99.7%)の確率ではまだ30下回っているかもしれない、というものです。 しかし9年くらい我慢すると、3σでも元本を上回ることができます。
このように、「リスクでバラついても、長期的に下限は元本を上回る」ということが、リスクが時間とともに減少するという誤解につながっているのではないでしょうか。
以上から、リスクのある資産を運用する場合は長期投資が必要であることがわかります。しかし長期投資さえできれば、元本を確実に上回ることができるという点が肝です。
またこの長期投資を利用して、継続的に元本を大きくしていくための有効な手段が毎月の積立だと考えています。気づかないうちにこんなに貯まってた。わーい。という感覚です。
ただし、図1と図2からわかるように、平均リターンは毎年プラスなので、最初にドカっと入れてしまった方が元本は早く回収できます(筆者の実施形である図2の16年はきついですね…2σ9年で許してもらいたい(>_<))。
次の議論に移ります。では最初にドカっと入れた方がよいのになぜ時間を分散させるか、つまりなぜドルコスト平均法を使うか?
ドルコスト平均法は平均取得価格を取得価格の平均より低くできる方法ですが、一長一短あります(これについては別の機会に議論できたらなと思います→2010/12/10追記
時間分散)。
理由としては、①筆者のような人間ではまとまった金額を最初に用意できないこと、②1年単位で見ればリターンはプラスだが、1ヶ月単位ではそうでもないこと、が挙げられます。
特に②は、少なくとも高値づかみはしたくないし、半年に一度は調整があるだろうし、結局未来はわからないし、という感じです。