きっかけはマネックス証券の手数料改定です。
単に高い安いよりも、スロープを挟んだ最大最小設定であることや、別の非課税口座キャンペーンで"実質無料"と謳うのを見て、ケータイ会社の仕組みが思い浮かびました。
するとこういう絵を描いてみたくなります。
【外国株式手数料(円)】
各社の手数料体系を元に、横軸に円単位の約定金額、縦軸に円単位の手数料を取ったものです。外国株式手数料は国内と違い米ドル単位で、かつSBI&楽天とマネックス(旧)は金額ではなく株数でしきい値を持ち、それ以降は株数に比例するのが特徴です。よって図のラベルにドル円の為替と1株あたりの株価を記しています。
つまり、円単位の約定金額のみならず、円高円安の為替にも、現地株価の高い低いにも左右されます。するといろいろおもしろい事実が浮かび上がってきます。
図のように、マネックス(新)はケータイの二段階定額と同じ形で、為替には依存しますが株価には依存しません(スロープの位置は原点を通る傾き0.004725の直線で固定)。一方、SBI&楽天とマネックス(旧)は為替と株価で決まるある金額以上になると1株0.021or0.0105ドルに応じた傾きで増加します。その傾きは株価が同じなら為替に依存しませんが株価が低いほど急峻になります。
例えばSBI&楽天の株数に比例する直線の傾きは0.021/株価となります。よってマネックス(新)のスロープと傾きが等しくなる株価は0.021/0.004725=4.44ドルです。またその直線を縦軸まで伸ばした時の切片は(26.25-0.021x1000)x為替となり、株価によらないオフセットです。
さらに縦軸を横軸で割って"率"に直すと、
【手数料率】
おもしろいのはマネックス(新)が定率領域を挟んで二段階反比例になることです。またSBI&楽天とマネックス(旧)も為替が同じなら株価が違っても同じ曲線上を反比例します。そして株価の低い順に1000株でドロップアウトし、そこから急激に傾きが緩やかになります。
約定金額をx、為替をd、株価をkと置くと、それぞれの手数料率は場合分けを含めて以下のようになります。
【マネックス(新)】
(i)0.004725x/d<5.25 のとき
5.25d/x
(ii)5.25≦0.004725x/d<21 のとき
0.004725
(iii)21≦0.004725x/d のとき
21d/x
【マネックス(旧)】
(i)x/d/k<1000 のとき
18.9d/x
(ii)1000≦x/d/k のとき
(18.9+0.0105(x/d/k-1000))d/x
=(8.4+0.0105x/d/k)d/x
【SBI&楽天】
(i)x/d/k<1000 のとき
26.25d/x
(ii)1000≦x/d/k のとき
(26.25+0.021(x/d/k-1000))d/x
=(5.25+0.021x/d/k)d/x
約定金額を大きくしていった時の極限(漸近線)はSBI&楽天が「0.021/k」、マネックス(旧)が「0.0105/k」で株価に依存するのに対してマネックス(新)は「ゼロ」です。
【まとめ】
リレー投資のようなまとまった金額では、マネックスの新体系はすぐに上限に達するケータイの二段階パケット定額と同じですが、追加料金がなく、また少額のリニア(定率)領域も従来に比べて使いやすそうです。なおマネックスは約定金額が4000ドルから12000ドルの間で値上げになる領域があります(それでも他社より低い)。
個人的には海外ETFの敷居が下がるのは歓迎です。
なお、各社非課税口座の手数料優遇キャンペーンを実施していますが、少なくともこの3社で適用されるのは1年目の100万円だけです。なぜ1年目かって以降の4年間はいわゆる縛りがあるからです。ゆえに、株式・投信その他標準の条件、取り扱い商品、使い勝手、今後の拡張性(に対する期待)を総合的に判断したいところです。
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1. 無題
しかし、上の三社内では25銭/ドルで同じみたいですね
SBIのFX現引きを使えば、2銭になるのですが、
一万ドル単位なので、額が大きくなります
FXと外国株で同じスプレッドになってほしいですね