「
III」で見た対数正規分布のプロットについて、軸の取り方を変えて表現してみます。
【資産価値とシグマ】
ここで言うシグマは騰落率の標準偏差(リスク)の何倍か(私の言うa)でもよいですし、何%が含まれるかの確率(1σ=68%など)でもよいです。
①nが10、20、30と時間が経つにつれてy=1を上回るシグマが小さくなっていきます。これが時間とともに元本割れを回避する確率が上がることを意味します。
②しかし-5σまで行くとグラフが交差してリターンが標準誤差を取り戻せずマイナスになりっぱなしです。この場合は騰落率のリターンとリスクの条件によって交点が決まるのだと思います(この例では-3σくらい)。
【確率密度と累積分布】
資産価値(対数正規分布)の確率密度と累積分布(確率)との関係です。確率密度のピークが累積分布の50%(中央値)に来ないこと、これが対数正規分布の分かりにくい原因だと思います。なんと言いますか、累積50%以下はスカスカなので縦の密度を大きくしてあげないといけないというイメージでしょうか。最も起こりやすい値(最頻値)は中央値(相乗平均のn乗)より小さくなりますが、それは累積50%以下の取りうる値が小さいから、と考えるのがよいと思います。累積50%以上は取りうる値が大きいから個々の密度が小さいと考えることができます。
やはり直感的に分かりにくいので縦軸を「確率密度×資産価値×σ√n」としてプロットし直します。
【「確率密度×資産価値×σ√n」と累積分布】
このように資産価値を掛けてやると相乗平均のn乗を中心に左右対称になり等確率であることがわかります。またσ√nで規格化することでnに依存しなくなります。累積分布はこの「確率密度×資産価値×σ√n」を資産価値方向(シグマ方向)に積分した面積になります。
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