有効フロンティアの重ね合わせを考えます。あらゆる資産の組み合わせにおける有効フロンティアの最外殻が真の有効フロンティアになると考えられます。
前回「
有効フロンティアについてIV」における条件では9資産の解がないことがわかりました。そこでまず相関をゼロにしたものをプロットします(前回のままでも資産の組み合わせを変えていけば解が出てくるはずですが、曲線の変化をわかりやすくするため)。
そうすると9資産の解が現れてきました。オレンジの実線が解あり、破線が解なしの領域です。
次にこの状態から資産を減らしたものをプロットします。
それぞれ以下の有効フロンティアを表します。緑色が左下(日本債)を除く8資産、黄色がリターンの下から3つ(日本債、新興債、新興株)を除いた6資産、茶色がリターンの下から4つ(日本債、グロ債、新興債、新興株)を除いた5資産です。
このようにオレンジの実線が途切れるところで緑色にバトンパスし、次に黄色、茶色と曲線がリレーされていきます。つまり資産の組み合わせを変えた無数の有効フロンティアで界面をつないでいくイメージです。
ここで得られる知見は、有効フロンティアは必ずしも与えられた資産すべてが寄与しているわけではなく、リスクリターンや相関といった条件に応じて、その中から選ばれたいくつかの資産の有効フロンティアの継ぎはぎで形成されるということだと思います。ちなみに9資産の等配分(水色)が緑のライン上にいるのはたまたまだと思います。
ここに分解能1/9の総当たりポートフォリオを重ねると以下のようになります。
すべての点が曲線の内部に存在することが確認できます。ちなみにオレンジ付近の隙間は1/9単位の配分では分解能が足りていないためです(日本債がほとんどで他が数%の領域)。
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