Daily[単位%] |
σ |
相加平均 |
相乗平均 |
NAV |
1.24 |
0.0086 |
0.0009 |
Close |
1.49 |
0.0110 |
-0.0001 |
カイリ |
0.43 |
0.0354 |
0.0345 |
数値でもリーマン後のシグマ低下が確認できます。ところで上の数値にも表れているように、ETFは基準価額(NAV)の変動が取引による外乱で増幅されると思うのです。NAVをfn、トータルの変動であるCloseをfcとすると、外乱fpはfcとfnとの差分になると考えられます。
fp=fc-fn
NAV、Close、外乱のシグマをそれぞれσn、σc、σpとし、誤差伝搬にあてはめると
σp^2=|∂fp/∂fc|^2×σc^2+|∂fp/∂fn|^2×σn^2+2|∂fp/∂fc||∂fp/∂fn|rcn×σc×σn
=σc^2+σn^2-2×rcn×σc×σn
rcnはσcとσnとの相関係数です。時系列データからNAVとCloseに関するパラメータはわかっているので、
σp=(σc^2+σn^2-2×rcn×σc×σn)^(1/2)
=(0.0168^2+0.0210^2-2×0.951×0.0168×0.0210)^(1/2)
=0.73[%]
上で時系列から求めたカイリのσd=0.63[%]とだいたい一致します。これが市場の投資家が自分たちでかき混ぜている分になると考えられます。
対数正規分布の相加・相乗平均の関係から、この外乱シグマにより相乗平均が微妙に小さくなるはずなので、累積確率50%の中央値は低下します(期待値との差が広がります)。
これはETFの非合理性のひとつかと思います。外乱シグマがNAVの変動に対して相対的に小さく実用上問題ないVTに対して、VWOはこのバラツキがまだ大きいと言えます。このようにETFは人間心理という不必要な誤差要因を内包していることは認識しておくべきだと思います。
また上の表からわかるように、リターンである相乗平均の値はσの2ケタ落ちです。我々長期投資家の求める日々の変動はこのように小さいものに過ぎないので、踊り狂う市場に惑わされずどっぷり構えていたいものです。
最後に、rndをNAVの変化量とカイリとの相関係数とすると、
rnd=0.540
VWOにおいては有意な相関がありそうです。例えば価格が下がるときは勢い余ってカイリもマイナスになりがちという風に捉えられます。したがって基準価額が下がるときを狙えば基準価額に対して割安で買える可能性がかなり高くなると考えられます。ただし相関係数(共分散)と確率とは別物であり、相関係数は確率とブレ幅を総合的に表した数値であることにご注意ください。
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