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リスク分布と複利後の確率振幅との関係(前編)

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リスク分布と複利後の確率振幅との関係(前編)

言葉を以下のように定義します。

◆リスク分布:単位時間あたりの変化率の確率分布(例えば日経平均の年間リターンの分布)
◆複利後の確率振幅:リスク分布を複利で掛け合わせた後の変化率の確率分布(例えば日経平均を複数年保持したときの累積リターン(資産価値)の分布)

基本的にリスク分布は正規分布(ガウス分布)を仮定しています。しかし現実の市場ではきれいなガウシアンになるわけではありません。よく言われるテイルリスクのように振幅の大きい部分の発生確率をガウス分布ではトレースできません(有限の確率を持つが限りなくゼロに近い)。

個人的には、例えば「リターンディストリビューションによるリターンとリスクの考え方」で考えたように、テイルリスクはガウス分布にローレンツ分布を重ね合わせた関数型で記述できると考えています。エクスポネンシャルのガウシアンに対してベキ関数のローレンツィアンは裾の落ち方が緩やかになります。ローレンツ分布は別名コーシー分布とも言うそうです。

以下は日経平均株価をフィッティングした結果です(日率)。赤線がガウス関数、青線がガウス+ローレンツ関数です。

【「ガウス分布」と「ガウス+ローレンツ分布」】

今回は一応シリーズ物として、元のリスク分布の形状が正規分布と異なるときに複利後の確率振幅がどうなるかをモンテカルロシミュレーションにより考えます。それが対数正規分布になるのか、または別の分布になるのかを検証します。

元のリスク分布として上記のガウス分布、ガウス+ローレンツ分布に加えて一様分布を考えます。一様分布は井戸型ポテンシャルのような階段型の関数です。

【リスク分布(リニア)】

【リスク分布(対数)】

①ガウス分布:相加平均リターン=5%、シグマ=15%
②一様分布:中心=5%、幅=15%
③ガウス+ローレンツ分布:相加平均リターン=5%、シグマ=15%のガウス分布、中心=5%、幅=15%のローレンツ分布を8:2の重みづけでブレンド

今回はどれも「相加」平均を5%とします(年率)。

また上記の目的に加えて、長期投資の元本割れ確率と2倍になる確率や、平均値と中央値との関係もシミュレーションにより検証したいと考えています。

※なお本記事はシリーズ中のシミュレーション記事を挟んで前編後編としたいと思います。

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