「リスク」はシステマティックリスクとランダムリスクに分解できると考えています。また、システマティックリスクは相関係数によって「リスク」に埋め込むことができると考えています。
【システマティックリスクの図】
◆システマティックリスク・・・分散では減らせない(nに依存しない)市場の固有リスク(リーマンetc)
◆ランダムリスク・・・分散リスク、つまりn増しで低減できるリスク
【①システマティックリスクの分離】
リスクを次の二つに分離します。
・相関係数1のシステマティックリスク項(σs)
・相関係数ゼロのランダムリスク項(σr)
このとき合成リスクσf(n)はいわゆるルート自乗和により以下のように表すことができると考えます(個別のシグマ、相関は等しいと仮定する)。
σf(n)=√(σs^2+(σr/√n)^2)
σs=5%、σr=12%と置いたものが上図になります。nを増やすとランダムリスクは低下するがnに依存しないシステマティックリスクが支配的になり、それ以上リスクを下げることができないことを表します。
【②システマティックリスクの埋め込み】
リスクを分離せず、システマティックリスクの機能を相関係数rのランダムリスクで代用することを考えます。
・相関係数rのランダムリスク項(σg)
相関係数rがゼロでないときの分散リスクσg(n)は、n=1での合成リスクσf(1)を用いて以下のように表すことができると考えます。
σg(n)=[√(1/n+(1-1/n)r)]σf(1)
ここでσf(n)=σg(n)より、
r=σs^2/(σs^2+σr^2)
r=5%^2/(5%^2+12%^2)=0.148と置いたものが上図になります。σgのグレーの線はσfのブルーの線と重なっており、システマティックリスクの相関係数rへの埋め込みが可能であることを確認しました。
なお、余談ですが個人的にはシステマティックリスクの存在そのものが効率的市場の反証と考えています。
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