日経の田村正之氏がこの本を出されていることは知っていましたので読んでみました。
有効フロンティアなどの話もあり資産・銘柄分散、時間分散といった分散投資の術が述べられています。強いて言えば時間リスクの確率部分にもう少し踏み込んでいただけるとよかったです。
特に「積立投資の有効性」という部分が興味深かったので自分も図を描いてみたいと思います。MSCI JAPANの1969/12/31から2014/06/30までのMonthly/Gross時系列をもらってきます。毎月定額積立をした場合の平均購入単価と損益率を算出します。スタート位置を変えて3種類プロットします。
【①MSCI JAPAN開始の1969年末から】
【②バブルのピークから】
【③リーマン直前から】
重要なのは「指数の青い線がスタート位置まで戻っていないのに、損益率がプラスになっていること」です。「インデックスファンドの時代」的に言えば「複利のマジック」ならぬ「積立のマジック」。
個人的に積立(いわゆるドルコスト平均法)は、
・右肩上がりを仮定するインデックス投資ではあまりよくない(①のように平均取得価格が上がり続ける)
・シグマがあればσ^2のオーダーで平均取得価格を下げられる
というように一長一短という理解です。しかしながら波がある現実の市場では図のようにシグマ要因以外に損益分岐点を下げられるのがよいと思います。また市場低迷時にも何も考えずに分母を増やせるのがよいです。ただしセンスのある人は2009年のような底でガッツリ買い込むのがよいと思います。
あと、読んだのは2009/2/24の1版1刷だったのですが、スタムの信託報酬が
TOPIX:0.483%
日本債:0.47%
グロ株:0.777%
グロ債:0.672%
昔のSTAMはこんな風だったなあと、今の時代が恵まれていることを感じます。三井住友TAMとその他インデックスファンドサプライヤーの努力に感謝します。
あとはETFについて、
『ETFが通常のインデックス投信よりコストが低い分だけ高いリターンになるとは限らない』
という指摘があってよかったです(時間差、カイリ要因によるもの。分配課税コストは無かったかも)。
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