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ドルコスト平均法の数学II

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ドルコスト平均法の数学II

積立と相性のいいドルコスト平均法ですが、時間分散によるローパス効果や高値づかみを避けることができる一方で、プラスのリターンを仮定した場合に一括投資に比べてリターンが低下するというデメリットがあります。

それを定量的に確認するために「数I」のモデルにリターンμを加えたドルコスト平均法を考えます。

【モデル】
基準価額(初期値p)がリターンμで増えるラインを基準に-σ、+σをn/2回ずつ交互に繰り返すケースです。そのためμは"2回に1回の割合で2回分が掛かる"とします。またnは偶数とします。以下に例としてp=1、μ=10%、σ=50%、n=12の場合をプロットします。


この時の平均取得価格は(長くなるので結果だけ書きます)

(A)定口購入:k=p×2(1-(1+μ)^n)/(n(1-(1+μ)^2))

(B)定額購入:k=p(1-σ^2)×nμ(2+μ)/(2((1+μ)^2)(1-(1+μ)^(-n)))

(C)一括購入:k=p (初期値pまたは最初の2回の平均を取得価格とする)

これを図示すると以下のようになります。


平均取得価格が低くなるのは、順に

高・・・(A)定口購入≧(B)定額購入≧?(C)一括購入・・・低

最初の不等号はμによらず必ず成立します。ここで重要なのはAとBは積立を行う場合の手法の違い、BとCは積立と一括との違いを表すものであって厳密には同じ土俵に並べるのは憚られるものです。

積立と言えば定額購入なので定口購入を選ぶケースは少ないと思います。よって、よく指摘される積立のデメリットは定額購入と一括購入との比較です。

投資は基本的にμ>0の右肩上がりを想定するので積立を続けるほど定額購入の方が平均取得価格が高くなります。「≧?」というわけのわからない符号をつけたのは、上記で算出した式からσによって平均取得価格を下げることができるからです。ではμとσがどのような関係ならば一括購入に勝てるのか。

Bの式の後ろの項をD=nμ(2+μ)/(2((1+μ)^2)(1-(1+μ)^(-n)))と置くと、

k=p(1-σ^2)D

(1-σ^2)D<1となればよいので、

σ>(1-1/D)^(1/2)

これが求める条件です。図示すると、


かなり厳しいです。たかだかnが10程度でもσが非現実的な数字になってきます。ここまでσが大きいとμをプラスに維持できる資産も存在しないのではないかと推測されます。

このように、かなりσが大きい条件でも、"μがプラスならば"、長期投資は一括購入がよろしいという結果が得られました。

ドルコストで多少は平均取得価格を下げられるが、リターンリスクにさらす割合が一括の半分程度になるためリターンも半分程度になる事実は変わらないようです(複利だともっと開く)。

実際は何十年分もの資金を最初に一括投資できないし、必ずしも右肩上がりではないので積立がダメだという結論にはならないと考えます。

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