例えばTOPIXの構成銘柄のMAXは4.5%、MINは0.00022%とオーダーで4桁もの差があります(1306の組入全銘柄情報から@2014/10/31)。もちろんこれは「過去」からのバラツキの結果であることは承知していますが、個人的には「今」この配分で購入することが分散の効果を薄めると考えています。それがどの程度かを定量的に確認します。
そのための簡単なモデルとしての「時価ライクウェイト」を考えます。上記の4桁より少し甘くして最大最小との差が2桁になるようにします。資産数はn=2~9とし、3資産、4資産とnが増えるにつれて間を線形補間して全体のウェイトが100%になるように配分を決めます。比較対象として「n資産等配分」を考えます。
【線形ウェイトモデル】
【イコールウェイトモデル】
これを「均等度」や「分散度」とともにウェイトヒストで表します。
【線形ウェイトモデルのウェイトヒスト】
線形モデル |
2資産 |
3資産 |
4資産 |
5資産 |
6資産 |
7資産 |
8資産 |
9資産 |
均等度 |
1.00 |
0.51 |
1.00 |
0.67 |
0.75 |
0.60 |
0.80 |
0.67 |
分散度 |
1.01 |
0.77 |
3.01 |
2.25 |
2.85 |
2.56 |
4.52 |
4.05 |
【イコールウェイトモデルのウェイトヒスト】
等分モデル |
2資産 |
3資産 |
4資産 |
5資産 |
6資産 |
7資産 |
8資産 |
9資産 |
均等度 |
1.00 |
1.00 |
1.00 |
1.00 |
1.00 |
1.00 |
1.00 |
1.00 |
分散度 |
2.00 |
3.00 |
4.00 |
5.00 |
6.00 |
7.00 |
8.00 |
9.00 |
この配分における合成リスクを求めます。個々の資産のσは一律20%とし、相関係数は互いに等しいとします。相関係数の値を少し振ってnと相関係数に対する応答を確認します。
【合成シグマのn-r依存(線形モデル)】
例えば、r=0において同じ合成シグマにするために必要なnを見ると、線形ウェイトの9資産がイコールウェイトの6資産に相当することがわかります。ただ、相関が0.5を超えてくるとぶっちゃけ時価ライクと等配分でほとんどシグマが変わらなくなってきます。つまり現実的な相関で銘柄数が数十、数百になってくると配分の差は日々のバラツキやシステマティックエラーに対して無視できるものになると考えられます。
数学的にはイコールウェイトが極値を取ることは変わらないですが、そのマージンとしてはそれほど大きくはないことが分かります(ただし、実際の時価加重はガンマがもっと立ったような形状なのでもう少し差は出てきます。次回それをモデル化して確認します)。つまり、「分散の仕方によってシグマ低減の効率は変わるものであるが、インデックスや資産配分も単に数が多ければよいというわけではない」ということは認識しておく必要があると思います。なので自分は「均等度」や「分散度」という指標を定義して実効的なnを考えるようにしています。
もちろんこれはモデルを簡単にするために等シグマ等相関を仮定しています。現実には日本債のような特性の異なる資産が混ざったりするので一概には言えない部分があることはご了承ください。なおこれはリスクに関する考察であって、イコールウェイトが必ず平均値(>中央値)を取るという概念には影響しないと考えます。
【まとめ】
「分散の仕方(重みづけ)が重要」
「分散する数が多ければよいというわけでもない」
「相関(システマティックリスク)が高いと重みづけの重要性が薄れる」
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