「インバスケット試験」ってご存じですか?仕事の進め方や判断力とかそういうのをロールプレイング的に測る試験です。その中に優先順位づけの課題があります。限られた時間、リソースの中で自分はどう対処すべきか、というものです。
資産形成において自分なりの優先順位を考えてみたいと思います。
①長期間続けること
『あきらめたらそこで試合終了ですよ』←ほんとこれ
シグマはゼロゲームでも少なくとも配当・利子成分によって期待値はプラスという仮定
(SR=1/3、-2σ(97.7%)で元本割れを回避するために必要な時間は36年)
②他人に流されないこと(自分で判断すること)
他人の動向を気にしない
誰も責任を取ってはくれない
市場変動で世間が踊り狂っているときに冷静でいられるか
③時間分散すること
高値づかみと市場退場の可能性を排除する
ただしリターンとのトレードオフである
④資産・銘柄分散すること
当たり外れのない「平均」を取りにいく
そのための手段がインデックスファンド
分散には為替の分散、債券の残存年数の分散なども含む
⑤リスクを把握しコントロールすること
標準偏差、期待値など自分にとって適切な資産配分を考える
将来の見通しを確率で把握する
必要であればリバランスで戻す
⑥低コストを追求すること
コスト=マイナスの複利リターン
そのための手段がインデックスファンド
⑦ラクであること
自動積立で普段何もする必要がない
忙しい人が長く続けられるために
【考察】
1番目と2番目に「継続」と「意志」を挙げました。理由は、3番目以降は他人のアセットアロケーションや購入ファンドなどを真似すればどうにでもなることに対して、継続と意志は自分でしか制御できないからです。
①も、他人を真似して続けることができるならその方がいい。②と矛盾するように見えますが、それくらい「時間」が大切だと考えます。個人的には、私はアウトローなマイノリティでいたいので②を上に持ってきたいところですが。
今は情報が簡単に手に入ります。積立も機械が勝手に忘れずにやってくれますし、リバランス等のリスク管理も例えばバランス型を使ってしまえばもう放置プレイです(定期的なチェックは必要だと思います)。リスクとか確率とかめんどうなことを考えなくても、環境が整った現在では合理的な資産形成が「できてしまう」。
ところで、先日後輩に関する記事を書いた後にamazonで「お金は銀行に預けるな」のレビューを見ました。そこで感じたのは市場環境によって書かれていることが180度変わるということです。確かにあの本が出た直後にリーマンでしたから「やられた」と思った人も多かったと思われます。しかし、そこで退場せずにあの本の言う通りインデックスの積立を続けていれば、たとえリーマンがあったとしても今では相当な資産が築けていたはずです。
そういう時流に流された他人の情報を鵜呑みにするのではなく、必要に応じてそういうものをシャットダウンし、本質を自分で考えるようにしたい。少なくともシグマや確率といった客観的で普遍的な理屈と、(損したなどの)感情を一緒にしないようにしたいと思います。情報が簡単に手に入るからこそ、それを処理する能力も求められていると思います。
あくまで優先順位をつけるとこうなるというものですべて重要であることに変わりありません。実務的なものと精神論が混在している点はスルー願います。なお、私の知る限りインバスケットに厳密な正解はなく、判断基準と一貫性を示せればある程度はイケると思います。ゆえにこの優先順位の考え方も人によって違いはあると思います。
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