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インデックス・ドライバー

長期投資の定義(元本割れ確率編)

「長期投資」と言っても、どのくらいの期間が長期と言うのでしょうか。

漠然と20年とか30年?それもアリだと思います。想定している条件に関係なく、このような期間運用し続けるのも長期投資と言えると思います。あるいは投資を始めた時から定年まで、といった考え方もあると思います。

今回は確率の考え方で長期投資を定義できないか考えてみます。

ここで「ある一定の確率で元本割れを回避できる期間投資を行うこと」を長期投資と定義します。図で表すと、

【「元本割れ」の図】

このグラフの緑の太線が、ある一定の長さより短くなるまで運用する、ということです。

対数正規分布の考察から、元本割れを回避するために必要な時間はシャープレシオ(SR)と要求確率(何σか)に依存することがわかっています(以下のμは相乗平均でμ>0、a<0とします)。

f(n)/f(0)=exp[μn+a×σ√n]=1より

元本割れ回避時間:n=[-a/(μ/σ)]^2

例えばμ=5%、σ=15%、0σの確率(50.0%、a=0)で元本割れを回避するために必要な時間は
n=[-0/(5%/15%)]^2=0(年)
例えばμ=5%、σ=15%、-1σの確率(84.1%、a=-1)で元本割れを回避するために必要な時間は
n=[-(-1)/(5%/15%)]^2=9(年)
例えばμ=5%、σ=15%、-2σの確率(97.7%、a=-2)で元本割れを回避するために必要な時間は
n=[-(-2)/(5%/15%)]^2=36(年)
例えばμ=5%、σ=15%、-3σの確率(99.9%、a=-3)で元本割れを回避するために必要な時間は
n=[-(-3)/(5%/15%)]^2=81(年)

これをグラフで表すと以下のようになります。

【元本割れ回避時間の3Dマップ(-2σ、97.7%)】※トーンジャンプについてはご容赦ください。

3Dは定量性が若干犠牲になりますが、パラメータに対する依存性が直感的に理解しやすくなります。ここでは時間がシグマとリターンによってどのように変化するかを示しています(n∝σ^2、n∝μ^(-2))。Z軸はLogです。以下のコントアは上記三次元の平面版です。

【元本割れ回避時間のコントア(-2σ、97.7%)】

これらはイメージが掴みやすい一方で数値の読み取りが困難なので、SR(μ/σ)の関数としてプロットします。

【元本割れ回避時間のSR依存(μ=任意)】

数学的には「n∝(μ/σ)^(-2)」のカーブで表されることが分かります。ここから代表的な値を抜き出して表としてまとめます。リスクとリターンを軸とします。

【元本割れ回避時間(0σ、50.0%)】

【元本割れ回避時間(-1σ、84.1%)】

【元本割れ回避時間(-2σ、97.7%)】

【元本割れ回避時間(-3σ、99.9%)】

【考察】
当然ながら要求確率が厳しくなるほど必要な時間も長くなります。元本割れの場合はリスク、リターンの個々の値ではなくSR(μ/σ)という「比」に依存するので表の斜め方向に同じ値が並んでいます。

はっきり言って-2σ、-3σは現実のタイムスケールでは厳しいと思います。リスクを下げる(SRを上げる)か要求確率を下げるかの妥協も必要です。確率的には-1.5σ(93.3%)くらいが落としどころになりそうでしょうか。

また、リスクがどんなに大きくても(SRが小さくても)時間をかければ元本割れを回避できることが分かります。ただし相乗平均リターンが正の場合に限られます。加えて、これは-2σなどバラツキの端を議論しているので、中央値や平均値を見ると資産価値は大きくなっていることに注意です。

なお、これは一括投資であり積立では漸化式的になりさらに厳しくなります。おしりが決まっている場合に積立は後から投資するほど使える時間が短くなるからです。しかし積立の場合の定式化はまだできていません。

このように、それぞれのリスク許容度に応じて各自長期投資を定義し、実践すればよいのではないでしょうか。

今回は元本割れで定義しましたが、「投資をするからにはせめてk倍にはしたい」というような考え方でk倍になる確率を使うのもアリだと思います。ここで言いたいことは、何か論理的な根拠をもって判断するべきだということです。考え方はいろいろあると思います。

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