メディアではしばしば米国の「雇用統計」が取り上げられます。その数字次第で指数が上がったり下がったりします。下記からデータをいただいて「統計」の振舞いを確認したいと思います。
数多くの項目がありますが、その中から失業率、非農業部門雇用者数、住宅着工件数、ISM製造業景況指数という割とよく聞くものをプロットしてみます(2004~2014年)。
【経済指標(米国)】
【経済指標(米国)の微分値(前月との差分)】
上の図のように大局的には割と滑らかな低周波の変動をしてきたことがわかります。下の図は前の月との差を取ったものです。このように『微分』として見るとそれなりのバラツキがあることがわかります。特にゼロを挟んでひと月単位でギザギザしていることがわかります。このギザギザを数値化すると以下のようになります。
【前月との差分の標準偏差】
|
±1σ(68%) |
失業率[%] |
0.19 |
非農業部門雇用者数[万人] |
11.53 |
住宅着工件数[万件] |
10.19 |
ISM製造業景況指数 |
2.09 |
【考察】
統計とはバラツキを定量的に議論することであって、単に就業者が何人とかはただの「集計」ではないでしょうか。
「雇用統計」という「イベント」がメディアに掲載されているのを見ると、『1σも変わらないのにいちいち騒がないでほしい』と思います。ただの変動に裏付けの乏しい理由を付けるだけの仕事は楽でいいですよね。テンプレから引っ張ってくるだけの簡単なお仕事です。
『誤差』をもって客観的に捉えれば必要無いことを無駄に騒ぎ散らしたり目先の数字に踊らされることは無いと思います。根拠があるのかわからない予想との比較や有意差の無い変化をわざわざ騒ぎ立ててインデックスの効率を落とすことは自重していただけないでしょうか(シグマによる相乗平均の損失)。指数が上がらないのも市場(自分たち)の振舞いに原因の一つがあることを自覚して行動するべきではないかと思います。
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