以前からの疑問として所得税の計算式の「97500」とか「427500」という数字(控除額)は何を意味してどこから来るのだろうと思っていました。今回きちんと向き合って考えてみました。
所得税はいわゆる累進課税が適用され、あるしきい値で税率が切り替わると思います。一方住民税は一律10%が適用されると思います(所得割のみ考えます)。
【所得税と住民税】(※所得税率5%の領域の実質所得税率を修正しました)
【所得税と住民税(拡大)】(※所得税率5%の領域の実質所得税率を修正しました)
赤い線は課税所得に所得税率をそのまま掛けたものです。所得の区分に応じて傾きが変わることがわかりますが、何もしないと段差ができてしまいます。ここで「97500」等の数字を引くと黄色の所得税額になります。つまりこの数字は段差を滑らかに繋げるためのオフセットであることがわかります(控除額の算出は割とめんどいです)。
そしてこのオフセットを引いてしまうと、緑の実質所得税率で示したように実効的な税率は累進課税の数字より小さくなることがわかります。
個人的には税率を課税所得の関数(2次や4次関数)にしてしまえば段差もなく所得に応じた累進的な課税ができると思うのですが。住民税は課税所得に対して傾き0.1の比例関係になることがわかります(オフセットの均等割を考慮すると線形)。
これらも一応「率」が定められていますが、所得に対して連続したリニアな関係ではなく特定区間の「代表値」を用いるようです。この「標準報酬月額」は1年間の平均ではなく4,5,6月の給与の平均です(なぜか定期券などの通勤費も含むそうです)。
【保険料】
【保険料(拡大)】
所得の青い線のまわりを「魔貫光殺砲」みたくグルグル回っているのが「標準報酬月額」です。この仕組みでは保険料率は所得に対してリニアではなくなります。このしきい値を微妙に超えただけで保険料に「段差」が発生し、余分に多くの保険料を支払う逆転現象が起こります。ギザギザの「超電磁タツマキ」みたいなのがそれを表していて、「(n-1)との差分」というのがその区分より前の標準報酬月額区分に対する「所得ー保険料」の差をプロットしています。これが負になる領域が「所得は増えても保険料によってトータルで減少する」ことを示しています。つまり同じ区分内でも実効的な保険料率が増減し、所得税のような段差対策もされていないと考えることができます。
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