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インデックス・ドライバー

リスクを組み込んだ72の法則

副題「誤差を考慮した複利2倍確率則」

「72の法則」という関係式があります。元本が複利で2倍になるまでの時間とリターンとの積が「μn=72(0.72)」になるというものです。

この式は基本的にリターンしか扱っていないので、シグマがゼロの場合を除いて確率的に50%(中央値)で起こりうる事象に限定されています。そこで±1σ、±2σといった期待値のバラツキ(n年後の標準偏差)を考慮した複利2倍則を導出したいと思います。

まずnを時間、μをリターン(相乗平均)、σをリスク(標準偏差)とし、n年後の期待値に対する±aσのバラツキを以下のようにリターン項とリスク項に分離します。

f(n)/f(0)=(1+μ+aσ/√n)^n
=[(1+μ)^n]×[(1+aσ/√n)^n]

ここで冪級数展開では手に負えないので、計算を簡単にするために無限に分割した時の極限を用います。過去に「複利」や「N増しで統計が上がるか」でやったようにこの場合はネイピア数の定義と同等になるため、

lim[(1+μ/d)^(dn)]×[(1+aσ/(d√n))^(dn)]
=e^(μn)*e^(aσ√n)
=e^(μn+aσ√n)

これが「2」になるときが求める条件なので、

e^(μn+aσ√n)=2

両辺の自然対数をとって、

μn+aσ√n=ln2 (ln:natural logarithm) ・・・①

μについて解くと、

μ=(ln2-aσ√n)/n ・・・②

一方、nイコールにする場合は√n=N(≧0)で置換しNについての二次方程式を解いて、

n=[(-aσ+√(a^2σ^2+4μln2))/(2μ)]^2 ・・・③

もはや72でも何でもなく気軽に使えるような式ではありませんが、一応形にはなりました。例えばσに適当な値を入れ、aを-1にすれば-1σの確率(100-16=84%)で2倍になる時間とリターンとの関係がわかります(aは累積確率に相当するので2倍になる確率はその反対側、1から引いた値になります)。グラフを描くと以下のようになります。

【時間とリターンの早見グラフ(σ=15%)】

【リターンと時間の早見グラフ(σ=15%)】

シグマゼロならただの反比例(ベキ)なのでlog-logで傾き-1の直線になることがわかります。シグマが有限の場合はシグマに応じて湾曲します。

というか、ぶっちゃけ③のように複雑になってしまうなら、最初の式の時点で

(1+μ+aσ/√n)^n=2

と置き、両辺の自然対数をとって

n=ln2/ln(1+μ+aσ/√n) ・・・④

これが極限や近似を使わない厳密解として出てきます。さらに「μ+aσ/√n<<1」として1次まで展開することで

n=ln2/(μ+aσ/√n)

結局①と同じになりこれをnについて解けば③と同じものが得られます。

また④においてバラツキを考えない時、つまりaをゼロにすると、

n=ln2/ln(1+μ) ・・・⑤

これが近似を使わない普通の複利2倍則の厳密解です。上記と同様に「μ<<1」として1次まで展開することで

n=ln2/μ

ゆえに

μn=ln2=0.69 ・・・⑥

このように見慣れた72の法則に帰着します。これは③でaをゼロ(確率50%=中央値)にしても求められます(非常に回りくどいことをしましたが結局①は⑥を「μ→μ+aσ/√n」で置き換えただけです)。

ちなみに72ではなく69なのはエクスポネンシャルの極限から求めているためです。無限に分割した時の極限(最速の複利)を用いると複利2倍則の比例係数は「ln2=0.69」になるようです。以前「複利」で用いた近似では「-1+√3=0.73」になります。それぞれ「ln(1+μ)」と「(1+μ)^n」の近似誤差が乗っているので、厳密解に対する振る舞いは異なると思われます。

【余談】
ここでaと確率との関係は「元本割れ確率則」と同じです。

累積確率:F(a)=1-[1+erf(a/√2)]/2 ※erf(x):誤差関数

【確率とシグマの早見グラフ】

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