知人と久しぶりに飲みに行って突っ込まれた言葉です。インデックス投資にとってかなりキツいひと言だと思います。
あと、「コスト以外に言うことないの?」とも言われました。
彼もインデックスではないですが投資をしています。彼は自分でコードを書いてシステムトレードを組んでしまうくらいの人なので、市場の変動をモロに食らうだけのインデックス投資にそのような印象を持っているのだと思います。センスのある人はインデックス投資なんかに頼らずとも変動を制するような「ロジック」があるのでしょう。
この言葉を改めて考えてみると、確かにインデックス投資は非論理的な市場に振り回されながら信託報酬(実質コスト)の差やファンド間の良し悪しを比較することが多いので、思考停止して損得計算ばかりやっているように思われるのかも知れません。
また、低コスト品が出るたびにそれまでお世話になったファンドをあっさり切り捨てて乗り換えるさまは「見境ない」と思われても仕方がないように感じます。
とかいう私も自分の投資判断のためにトータルリターンや課税ロスを解析し、カイリとか興味深い結果があればついでにブログにアップするので、割と「損得計算」をやっているような印象を持たれているのではないかと危惧しています。
しかし、そういうのはブログ記事全体からすればほんの一部であり、あくまでインデックス投資の統計に絡む考察がメインだと思っています。私が主張したいことは、個別ファンドのズッコケや損得ではなく、それがわかってしまうインデックス投資の精密さや再現性の高さと、「バラツキ」を考慮することの必要性なのですが、それらが正確に伝わっているか不安に思います。
運用管理費用の他にも、例えば我々を守ってくれる信託財産留保額も「手数料」と捉えられている節があると感じますし、低経費率の米国ETFも配当分配課税ロスや確定申告のハードルがスルーされているように思います。またリスクとコストが等価であるにもかかわらず、アセットアロケーションのミーンバリアンスは盛んに話が出る割にはインデックスの統計的性質は議論されません。「個人のアセットアロケーション」にだけ統計学が適用されて「インデックスのポートフォリオ」にそれが適用されない道理は無いはずです。
個人的にはインデックスファンドは「コストが低ければ何でもいいというわけではない」と考えます。コストが低くても、先物や分配課税で配当をおろそかにしているもの、指数や基準価額からのカイリを放置しているもの、そのようなファンドはあります。
彼にも言いましたけど、インデックス投資はコストだけを見ているわけではなく、統計学を駆使してシグマを管理し、長期的な効率を改善させるものだと考えています。コストだけがインデックス投資の構成要件ではありません。何か一つのことに集中するのではなく、全体をバランスよく考えなければいけないのは「分散投資」と同じです。コストはゼロに漸近します。肝心カナメの「インデックスのロジック」をおろそかにしてインデックス投資の進化が滞るのを懸念しています。
インデックスファンドにはコストだけでなく、統計ロジックの導入とトラッキングエラー最小化という「質の伴った低コスト化」を期待しています。
やはりインデックス業界の外に出るとインデックス投資はそういう風に思われているんだということを痛感しました。先日の最小分散ETFの登場をきっかけにインデックス投資がコスト以外の側面にも軸足を移していくことを願います。
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