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信託報酬率引き下げに関する疑問

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信託報酬率引き下げに関する疑問

ニッセイアセットが3つのファンドの運用管理費用を低減し、さらにSBI証券が当該3ファンドを投信マイレージ制度の対象外にしました(2015/11/12のお知らせの後にその旨が追記されたでよいですよね)。下記は2015/11/15時点でメモしてエントリーを保留していた内容です。後出しですが、その後のDIAM等の動向も合わせて考察を追記してアップしたいと思います。

=======保留していた内容=======
◆運用管理費用とマイレージ制度との関係、および継続のための健全性
インデックスファンドの低コスト化が進むと以下のような事例が発生するのではないかとふと思っただけです。

ニッセイAMがインデックスファンドの運用管理費用を低減させました。今回引き下げられた後の運用管理費用のうち、販売会社分は、ニッセイ日本債(0.140%→0.065%)、ニッセイグロ債(0.170%→0.085%)、ニッセイグロ株(0.170%→0.105%)となっています(委託会社分も販売会社と同じ)。

ここで疑問なのが、「証券会社独自のマイレージ制度は成立するのか?」ということです。

例えばSBI証券の投信マイレージ制度は投信保有額に応じて0.1%か0.2%のキックバックが付与されます。証券会社固有の仕組みなのでその原資は証券会社が工面するはずです。証券会社が投信から継続的に得られるものは運用管理費用の販売会社分だけと思われるので、低コストファンドでは赤字になってしまいます。

そもそも上記3ファンドは今回の変更前からSBI証券の付与率(0.2%@1000万円超)より低い値でしたし、古くはニッセイ日経225インデックス(同0.11%)がそれに該当してきました。

物理に運動量保存の法則やエネルギー保存則があるように、金融でもトータルの収支は釣り合うはずです。ゆえにこの状態が維持されるとは考えにくい。

ではどう対応するのか?他の高コストなアクティブファンド等から補填するのでしょうか?しかし投資家側として他人を食い物にするのは良い気分ではありませんし、低コストのインデックスファンドのシェアが増えていくとそれも難しくなると思います。

対応として想定されるのは販売会社が続けられなくなって独自の制度を廃止するか、特定のファンドを対象外にすることです。当然ながら、何か代償があるなら無理をする必要はないと思います。設計として自律できない、あるいは継続できない仕様はよろしくないからです。

・・・あれですね、例えば半導体で10nmとか回路の微細化が進んでくるとゲートのリーク電流が問題になってくるとかそういうたぐいの話がインデックスファンドでも見えてきているのではないでしょうか。

あと、今回の一連の流れに関連して、投資家側も何でもかんでも低コストやキャンペーンを歓迎するのは憚られた方がよいのではないかと感じています。

代表的なものが個人向け国債のキャンペーンです。債券利率以上の販売コストが国から金融機関に支払われており、その一部がキャッシュバック等の原資になっているようです(参考「証券会社キャンペーンの原資はどこから来ているのか」)。

少なくとも個人的には国債の消化のために国の借金が余分に増えているならそれは健全とは言えないし、そもそも「考え方」や「設計」がおかしいと思います。

一部の人間だけが潤って、投資と関係のない人がその負担を背負うようなふざけた現実はぶち壊すべきではないでしょうか(株式は市場参加者間の自己責任で閉じるような話ですが、国債は財政や税金も絡むのでそうはいかない)。投資家側も、自分の損得や自分さえよければそれでいいという考え方ではなく、利害関係者全体の健全性を判断することが必要ではないかと考えています。

一方で、例えば非時価や統計的なアルゴルを開発したり導入したりすることに金融業界側が余計な手数料を上乗せするようなことは論外だと思います。金融以外では普通のことを今さら付加価値としたからって「無知の知」だからです。この場合はむしろ「今までなにしてたん?」と突っ込むべきだと思います。

◆コスト競争力のないインデックスファンドの処遇(インデックスファンドの使い捨て問題)
一般にインデックス投資は長期で継続するものとされていますが、そのツールであるインデックスファンドは使い捨ての傾向があると思います。進化の過程でコスト競争力やトラッキングエラー、連動指数の品質が追いつかなくなると淘汰されていくのはインデックス投資に限らず自然の摂理だと思います。

言葉はアレですが、インデックスファンドも「ゴミ」扱いされるものが増えてきていると思います。一昔前に低コストともてはやされたファンドも今では簡単に乗り捨てられています。

低コストが良しとされるインデックス投資において、インデックスファンドの乱立や見向きもされなくなった過去の遺産をどのように考えればよいのでしょうか。インデックスファンドは資産形成のための「ただの捨て駒」なのでしょうか。

米国バンガードのような圧倒的な低コストベンダーの不在が真因の一つだと思いますが、一方でインデックス投資家も次から次へとインデックスファンドを乗り換えるため、日本では数ばかりで純資産の大きなファンドが育たないという悪循環に陥っていると考えています(参考「断捨離ファイター」)。

純資産増による低コスト化を望むインデックス投資家は、その現状を意識してファンドを選んでいるのか。

そもそも「金融」と「倫理」とは相容れないものなのでしょうか。それについて考えることも重要だと思います。「個人の意識」と「金融システム」の双方の視点から。

一つの対策として、例えば、同じ運用会社内で低コスト品と高コスト品があるようなところは、自動的に純資産を移管して高コスト品を償還してもらえればよいのではないかと考えています。本当の低コスト化を願い推進していくなら、高コスト品を放置しておく理由はないと思いますし、増え続けるインデックスファンドとETFを整理してもよいのではないかと思います。

ただしN(ファンド数)が多い方が統計的な検証はしやすいですし、コストは低くても連動品質がおろそかなファンドには移管されたくないという投資家もいるかも知れません。やはり原則的に投資は自己責任で動かすべきなのでしょうか。

この件は今後のインデックス投資の進化の流れの中で重要な問題になると思いますので、継続的な考察と議論が必要と認識しています。

=======マイレージ除外対応後の追記部分=======
◆低コスト投資の矜持とインデックス投資の踏み絵
上記の物理法則を持ち出すまでもなく、経営的に最初から赤字が許されるわけがなく、低コストファンドのマイレージ非対象化は必然の結果とも言えます(だからこの際「ニッセイ日経225」も対象外にすればいいのにと思います)。

逆にこの状況でも制度を継続できるとしたら何か理由があると考えるべきです。それこそどこかで割を食っている人がいるのではないでしょうか。あとお知らせには「委託会社(運用会社)の都合等」と書いてあるので原資は運用会社からも拠出されていると推測されます(委託会社がOKすれば販売会社は実施するのですかね?)。

ここでゲスい話ではありますが、マイレージも考慮した投資信託の実質信託報酬を見える化してみます。ここではSBI証券が0.25%(税抜)をしきい値に設定していると仮定しています。もちろん信託報酬の内訳によってしきい値は変わりうると思います。

【実質信託報酬の図】

「矜持」とは平たく言えば「プライド」ですよね。インデックス投資のコスト面での進化を望むならトータルコストの「逆ざや」を許容してでもマイレージにこだわる必要はないと思います。

グラフによると、マイレージ制度の適用に応じてトータルでは逆転が起こりうる領域が発生します。例えば適用対象のニッセイ日経225(0.25%)と非対象でnewなDIAM日経225(0.195%)などが該当します。その時どのような判断を下すか、インデックス投資家の倫理観みたいなものが問われるのではないかと考えています。(※2015/12/27時点で後者はSBI証券の取り扱いがありません。このような事象が発生しないように調整されているのかも知れません。)

個人的には「合理的なアルゴルにドライブされた低コストインデックス投資」が目的地であると考えていますので、この「踏み絵」は一つの通過点に過ぎないと認識しています。

新しく設定されたDIAMシリーズについては、DC水準のコストで運用できるありがたさを感じながら、またこれで乗り換えが発生したり忘れられるファンドも増えるんだろうという寂しい感じもします。

【まとめ】
コストを下げろと言うだけなら簡単ですし、他者(金融機関)に不利益を押し付けて自分のことしか考えないのは、これまで金融機関側がやってきたことと同じと捉えることもできますので、我々投資家側も気をつけた方がよいと思います。

また、信託報酬(実質コスト)だけで飛びつくとトラッキングエラーで痛い目に合うファンドは実際に存在していますし、そういうものが存在する中でコストのことしか議論しないのは無責任とも言えます。

インデックス投資家は狭い視点に囚われず視野を広くして行動することが大切と考えています。

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