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インデックス・ドライバー

資産運用の効率について(長期投資における時間とS/Nとの関係)

【重力波の観測】
米国の研究機関による「重力波の直接検出」がニュースになっています。

この発表は重力波(時空の歪み)を検出しただけでなく、一般相対性理論の実証、ブラックホールの直接観測、ブラックホール連星の発見、ブラックホールの合体の確認など、物理学や天文学にとっての意義が数多く含まれている点がすごい。

実験に用いられたレーザー干渉計の「レーザー」もアインシュタインの理論(誘導放出)が基礎になっており、改めてアインシュタインのいわゆるチートっぷりを実感しました(なおインデックス投資におけるランダムウォークの理論(ブラウン運動)もアインシュタインによるもの)。

他にすごいと思ったのは、報道によるもので論文を見たわけではありませんが、検出の信頼度が「99.999999%」という点です(出典 sankei.com/photo/story/news/160212/sty1602120003-n1.html)。

これは正規分布による信頼区間で表すと「約5.7σ」に相当します。分野によって違いはあると思いますが、例えば観測で何かを検出したと議論する時は、バックグラウンドノイズに対して例えば3倍(3σ=99.73%)以上の有意な信号が必要と考えられます。

これは一般に「S/N(シグナルノイズ)比」と呼ばれると思います。資産運用におけるシャープレシオ(リターン/リスク)もS/Nの一種と考えられます。

【資産運用の効率】
観測や実験による有意性は数増しや時間積分により向上させることができると思いますが、資産運用の場合は市場のシステマティックリスク(固定ノイズ成分)が支配的になり、S/Nを高くできないことが課題と認識しています。

例えばTOPIX(配当込み)の実績を調べてみると(出典 myindex.jp)、

@2015年12月末 3年 5年 10年 15年 20年 30年
リターン (%) +24 +13.9 +1.2 +2.9 +1.3 +2.5
リスク (%) 16.5 17.5 18.8 17.9 17.9 19.7
シャープレシオ 1.5 0.8 0.1 0.2 0.1 0.1






近年の調子の良かった時期でもS/Nとして1.5σ、数十年単位では0.1~0.2σという有意性になってしまいます(MSCIコクサイでも0.3~0.4σ)。この「ノイズに埋もれたシグナル」を抽出するのはなかなか困難なように感じます。S/Nを向上させるための分散投資も相関によって律速してしまうため、そういう意味でインデックス投資は効率がよくないのも事実と考えられます。

ただ資産運用は時間と複利を味方につけることで、このS/Nを向上できると考えています。一般的に相乗平均をμ、標準偏差をσ、時間をnとすると、

①リターンはn倍(∝μn)
②リスクは√n倍(∝σ√n)
→S/Nは√n倍((μn)/(σ√n)=(μ/σ)√n)

で大きくなると考えられます(近似が含まれています)。長期投資で累積のリスク(不確定性)は大きくなっていきますが、リターン(中央値)もそれ以上の速さで大きくなっていくので、いつかはリスクに対して有意なリターンを達成できるはずです。

例えばμ=5%、σ=15%(μ/σ=1/3)という分散投資をする場合、横軸を時間n、縦軸をS/N(累積リターン/累積リスク)にとると、

【長期投資によるS/Nの変化】

黄緑色の直線が累積リターン、青い曲線が累積リスク、色の変化している曲線がS/Nを示しています。

重力波の検出「約5.7σ」と同じ精度を資産運用で出すためには約293年の時間が必要になるようです。「3σ」でも81年かかります。現実的な落としどころとしても「2σ(95.45%)」で36年、「1.5σ(86.64%)」で約20年、「1σ(68.27%)」で9年のタイムスケールとなります。

ゆえに、リターンを向上させるだけでなく、なるべく指数の変動を抑えることが重要になりますし、時間の観点からも短期的な市場の変動に対してあきらめず粘り強く資産運用を続けることが大切と考えています。

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