それぞれのカーブは以下のパラメータで描いています。
青ライン:相加平均=約2%、標準偏差=0%
赤ライン:相加平均=0%、標準偏差=20%
緑ライン:相加平均=-0.5%、標準偏差=0%
黒ライン:青ライン×赤ライン×緑ライン
インデックス投資における配当成分(相加平均リターン)を青色、変動によるロス成分(消失リターン)を赤色(マゼンタ)、信託報酬に代表される費用成分(マイナスの配当)を緑色で分離したものです。それらをマージした黒色がインデックス投資の総合的なアウトプットと考えています。
つまり、配当によって指数関数的に資産が上昇しても、市場変動によって相殺され、さらにコストが追い討ちをかけてしまうことを表現しています(ギザギザの下限と費用成分が重なっているのは配当と変動を略同等にしているからで、パラメータ次第で必ずしも一致するものではありません)。
上図を1グラフ1ラインとして改めて描き直してみます。
【①配当成分】
【②変動成分】
【③費用成分】
掛け合わせると
【④インデックス投資成分】
さらに「Second」と同様に期待値とシグマを改善させた場合にインデックス投資のアウトプットがどのように変化するかをパラメータを振って確認しておきたいと思います。
【B:相加平均を改善させる】
青ライン:相加平均=3%、標準偏差=0%
赤ライン:相加平均=0%、標準偏差=20%
緑ライン:相加平均=-0.5%、標準偏差=0%
【C:標準偏差を改善させる】
青ライン:相加平均=約2%、標準偏差=0%
赤ライン:相加平均=0%、標準偏差=15%
緑ライン:相加平均=-0.5%、標準偏差=0%
【D:相加平均と標準偏差を改善させる】
青ライン:相加平均=3%、標準偏差=0%
赤ライン:相加平均=0%、標準偏差=15%
緑ライン:相加平均=-0.5%、標準偏差=0%
【考察】
このように要素成分に妥当な数値を仮定すると、インデックス投資は「マイナスサムゲーム」であることがわかります。インデックス投資にとっては都合のわるい数学的帰結であり、非効率な市場にフリーライドしているだけではジリ貧になる懸念があることを示していると思われます。個人的にはそれを統計的に改善していくインデックスファンドを望んでいます。
時価加重はおそらくミニマムの費用で市場平均が取れると思われます。しかしその市場平均の定量的な性質は不問。むしろ配当に対して無作為かつ無用な市場変動そのままなので効率は悪いと考えられます。
コストはインデックス投資を構成する複数の要素の一つに過ぎない。コストを重視する市場平均運用ならパッシブ投資、定量解析によりコストを含めた複数要素を体系的に進化させていく運用をインデックス投資と定義するのがよいと考えます。
※充分にシグマをサチらせたオリジナルインデックス運用を実施できるならこの費用成分を失くすことは可能(継続的な複利ではないオフセット的な費用は必要。また配当課税ロス成分が新たに乗ってくるか)。
【まとめ】
コストを減らすことも重要ですが、それだけではなく変動を抑える、配当を高めるといった他の手段を駆使してバランス良く効率化を果たすことが、インデックス投資が進化するための一つのありようなのではないかと考えています。
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