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インデックス・ドライバー

運用の質をとるかコストをとるか

非課税口座の運用をどうしようかと思って調べていた時に違和感を感じたのが以下の数値です。

【SBI証券のファンド検索より】


たしか同じ日に同じ4資産均等型バランスとして設定されたこの両者、ニッセイの方が低コストだったのに成績は逆なのが気になりました。

以前ノイズキャンセル効果を考察した際に、「リバランスボーナス」はバランスファンドの運用がうまくいっているかの判断基準になりうると考えました(参考「eMAXIS8資産均等型のリバランスボーナスの確認(2015/02/27)」)。この統計量はそれなりの精度で所定配分を維持できていないと理論値からずれが生じうるからです。

そこで両者のリバランスボーナスを解析してみました(バラとバランスのマザーファンドが同じことは確認済み)。スパンは2015/08/27-2016/12/29、20日タップローパスフィルタ。

【リバランスボーナス(eMAXIS4)】

【リバランスボーナス(ニッセイ4)】

【考察】
eMAXIS4はリバランスボーナスの理論値をおおよそトレースし、リバランスボーナスの数学的な特徴である「常にプラス」を維持しています。この「リバランス追従性」の傾向はeMAXIS8とコンシステントです。一方ニッセイ4はうまくトレースしているとは言いがたく、値がマイナスをとることもあります。

リスク管理を行う上でバランス型は有効な手段の一つと考えていますが、リスク制御の指標である理論値をトレースしていないということは我々の期待する運用ができていないのではないかと懸念しています。この結果が運用会社にとって想定内なのか想定外なのか知りたいところです。

またこの期間、この資産の組み合わせに限れば、eMAXISは単品よりバランスの方がトータルリターンは良く、ニッセイはほぼトントン。

同じ4資産均等バランスファンドでもこのような違いがあるのは興味深いと思います。

確かニッセイの運用管理費用の引き下げが行われた時、単品のみが対象でバランス型はそのままだった気がします。ゆえに2015/11/21以降は「リバランスボーナスの実測値」「損益」とも0.15~0.2%程度の下押し要因(下方シフト)になっていると思われます。これが、リバランスボーナスは負をとりえないのにマイナスを跨いでいることの原因の一つと考えています(ただし主要因は運用だと思います)。

なお、コストは「シグマ(標準偏差)」や「単品の相乗平均から求めたリバランスボーナスの理論値」、「単品とバランス型のシグマから求めたリバランスボーナスの理論値」には影響しないと考えています。またeMAXIS、ニッセイのそれぞれで求めた理論値がほぼ変わらないのが興味深い点です。

以上は自社ファンド内で閉じる話です。特に「アチャー」という感じで痛いと思うのは、

「低コストの効果が出ていないこと」

以下はeMAXIS4をベースとした規格化基準価額比です。

【規格化基準価額比(eMAXIS4基準)】

コストやカイリ、運用の違いなどを全部ひっくるめたトータルリターンの差です。信託報酬に0.2%近い開きがあるにも関わらず、トータルリターンは現時点で0.2%程度の逆ザヤとなっています。もちろんこれはファンド間の相対値しか見ていませんが、リバランスボーナスの応答性を踏まえる限り、管理費用を除いた指数への追従が信頼できるのはeMAXISの方と考えています。

頻繁なリバランスはコスト高になるとか等の理由であまり厳密にリバランスしないとか裁量や自由度について各社方針があるかも知れませんが、それが基準価額に反映されなければコストが低くても意味がないのではないでしょうか。あるいは純資産額が増えれば解決するような問題なのでしょうか。(これは単品の変動による資産ズレに対するバランス型のリバランスの話なので、グロ株のようなトラッキングエラーとは事情が異なるのではないかと考えています。)

インデックスファンドの場合、表面的なコストが低くても、コストメリットが基準価額に正しくフィードバックされないと「コストで釣っているのではないか」といった懸念も出てくると思いますので、信頼性という意味で運用の品質はコスト以上に重要と考えています。

コストの低下を望むのは指数からの乖離をシュリンクするためであり(インデックスファンドはコストの分だけ配当込み指数から必ず下方乖離する)、結果的に基準価額の相乗平均リターンも改善するはずなのに、より高コストなファンドの後塵を拝するというのは本末転倒と考えられるからです。

モノと同じで「スペックが高くても使い勝手が良いとは限らない」のと似ていますね。まあ、コストも運用の質の一つという捉え方もあるかも知れませんが、プロなら結果(アウトプット)へのこだわりも求められるはずです。

【まとめ】
コストだけでなく運用品質も投資成果に関わってくる重要な例だと思います。単資産のインデックスファンドにはないバランス型の難しさでもあると思います。やはりインデックスファンドは「コストだけで判断してはいけない」ということを改めて痛感します。

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コメント

1. 無題

eMAXISバランスは,もう一方の波乗り型がずっと低いリターンをたどり,その差が開いています。これは,資産配分を変える世界経済やセゾンバンガードも似た部分があり,eMAXIS8資産バランスやSBI資産設計のような均等固定の安定した強さが感じられます。意図的な操作をすると運用はうまくいかないという象徴的な存在です。リバランスボーナスを失う好例のようです。個人の運用は,これに近いものがあるような気がします。
上記の2つは,日本株・先進国株・日本債・先進国債の4均等が含まれており,加えて株式などと上昇具合にずれがある内外リートも半分ずつ含まれている点が底堅さを支える感じがします。世界経済もセゾンバンガードも株式と債券が半々なことのメリットよりも,為替の影響がただただ大きい印象です。同じ地点にいくための上がり下がりが無駄に大きい感じです。
信託報酬や資産配分をあれこれ考え続けるよりも,SMTかeMAXISあたりでもいいので,当初に可能な限一括投資を行い,後は積み立て続けて忘れるくらいが,結果的な投資上級者のような気がします。

2. >投資侍さん

コメントありがとうございます。

世界経済インデックスやセゾンバランスのように経済情勢に合わせて意図的に資産配分を変えているとしても、資産配分変更それ自体がリバランスボーナスを失うことにはならないと考えられます(ある資産配分で、ある程度の期間運用してきちんとリバランスされていればリバランスボーナスは観測されるはずですし、変更後の配分によっては向上することも悪化することもあるはず)。波乗り型のように頻繁に変えているとどこかでロスするかも知れませんが。

世界経済や波乗り型は統計に立脚しない資産配分と「順張り」が単純に好ましくないんじゃないかと思えます。

リバランスボーナスは単に分散効果の裏返しであり、その点ではシグマ低減の弱い世界経済idxはリバランスボーナスをはじめとした統計量に改善の余地はあると思います(セゾン投信は興味がないので調べていません)。eMAXIS8は均等配分のロジックが根底を支えていますし、統計量が示す通りの安定感はあるように感じます。

スタムやeMAXISはもう少しコストダウンをお願いしたいところですが、背景理論と運用がしっかりしていれば、おっしゃるように周辺の雑音など無視して粛々と積立を継続するのが良いと思います。

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