私が大雪の白馬で雪ダルマになっていた1月14日、都内では「Fund of the Year 2016」の表彰式が行われていたようです。
※ちなみに画像は別の日の白馬五竜&Hakuba47スキー場のアドベンチャーコースです。よんななから五竜へ下るルートです。運良くパウダーの日にオープンしてくれました。新雪にドロップすると雪が胸どころか頭まで来ました。
突然ですがアンケートです。インデックス投資の目指すべき方向性について、以下から選んでいただけないでしょうか。
①コスト、運用品質、定量性がバランスよく進化していくこと
②(時価加重のまま)ひたすら低コストのみを追求すること
【インデックス投資における全体最適と定量の視点】
◆インデックスファンドの仕様
コスト・経費率
運用品質・カイリ
規模・純資産
指数性能・統計特性
情報開示・問題対応
・・・
インデックス投資に足りていないと思うこと、それが「全体最適」と「定量」の視点と考えています。例えば、これは「インデックス」投資なのになぜインデックスそのものが定量的に議論されないのか、ずっと疑問に思ってきました。
インデックス投資は主に資産(アセット)や時間の分散(積立など)などを訴えますが、指数を構成する銘柄の分散や定量特性などはほとんど議論されないと感じます。またインデックスファンドの仕様は費用面ばかり重視で、上記で挙げたような複数考えられる仕様の分散(全体最適)がおろそかになっていないでしょうか。
「ファンドオブイヤー2016」の結果で感じたことは、端的に言えば「コストが低ければ一番を取れるような時代はそろそろおしまいにならないか」ということです。
インデックス投資に求められるのはコストだけではないはずです。連動品質、安定感、定量性、リスク管理など、その他の視点も含めて考える必要があると思いますし、これらがバランスよく進化したものが選ばれるべき資産形成ツールと認識しています(ゆえに、これらすべてに対応した真の一位に挙げられるようなファンドはまだ無いとも言えるかも知れません)。
特に、低コスト化は金融機関が利益水準を削っているだけで、インデックス投資そのものは進化していないということに気を付けたいと考えています。そういう堅苦しいことを考えずにコストだけを見ていればいいならラクでいいんですが、コストばかりで視野が狭いと、他の問題による律速を見落としたり、他の課題があるのに対策が遅れてしまうからです(主にマイナスサムゲーム対策と運用品質の改善、インデックス投資の定量化など)。
このブログを普段からご覧くださる方にも聞いてみたいのですが、なぜインデックス投資は定量や全体最適、そして「課題解決」の視点で議論されないのでしょうか。メディアの論調もそうですし、金融機関の資料等もそうです。
例えば運用報告書って「実質コストを確認するためだけのもの」になっていませんか。だから金融機関も乖離の詳細な原因解析や今後の対策(→リスク管理)などの意味のある情報を記載する気にはならないんじゃないかと考えています(現状は乖離の事実や成分分離さえもまともに述べられていないように見受けられます。金融機関にとっては都合の悪い情報ですし、はなからそんなことにコストをかけてまでヤル気はないかも知れませんが)。
ぶっちゃけ、投資信託説明書(目論見書)も、例えば指数が何に着目されどのような背景に基づいて構成されたか数学的に記述されているわけでもなく、形式的なことばかり。これも金融機関の免責事項のためだけにあるのが現実ではないでしょうか。
重要なのは手数料だけでなく問題に対する対策の実施と見通し(計画)を具体的に明らかにすることだと思うんですよね。そうでないと我々は「判断」できないからです。現状のインデックス投資では我々の知りたい情報が得られないと感じます。
あと市場関係メディアとかも無益な予想や憶測で騒ぎ立てたり不安を煽るだけで結果の答え合わせや原因解析によるフィードバックが見られません。そういうのが市場を構成しているから市場は同じことを繰り返す非合理な集合なんだと思いますし、インデックスのリターンがシグマで毀損する「マイナスサムゲーム」に陥るんだと思います(その課題に対して自らを律することもしない)。
そうやって考えるとボラティリティの増大を時価で放置して「消失リターン(コストよりロスが大きい)」を許容するインデックス投資(パッシブ投資)が合理的、効率的っていうのもおかしな論理ですよね。
あとは「中立」と「客観」というのも重要な視点と考えています。置かれている立場を認識し、問題があれば修正していかないと、前向きな進化や発展が難しいと思うのです。また定性主体の表面的な観点が中心だと、将来に向けた自律的で前向きなアイデアも出にくいと思いますし、何より議論が浅くなると思います。「結果」だけでは原因解析や対策にならないです。
問題を解析し事前に対策を打って改善させていくことは普通のことだと思います(私が仕事などでそういう環境に置かれてきたからそう考えるだけでしょうか)。起こったことに対して場当たり的に反応しているだけでは市場と変わりません。
【ファンドオブイヤー2016投票時のアンケートに関して】
投票結果についてはあまり深追いしませんが、個人的には定量や統計の重要性をアピールするために背景に何かしら数学的な裏付けのあるファンド(課題多数のETFも敢えて)を選んだのですが、厳しい結果だったようです。
最小分散なんかは前年そこそこだったと思いますが既に廃れた感があります。イーマックスの最適化ものもミニボラと同じく全体で私の1ptのみのようです。
ところで投票時にいくつか設問(アンケート)がありました。表彰式から一ヶ月以上が経過していますが、サイトにはこの結果についての記載がありません(2/22時点)。このアンケートが有効活用されることを願いつつ、自分が考える内容をメモしておきたいと思います。
設問①:『今後、登場してほしい商品やサービス、改善してほしい投資環境(税制優遇制度等)を教えてください』
このような質問があるとは思っていなかったので日頃考えていることを即興で回答したのが以下です。
◆イコールウェイト、最小分散、ハイディビデンドといった定量性に立脚し、トラッキングエラー等にも配慮された低コスト非時価加重インデックスファンド。
◆個人の「保有期間」によって運用管理費用が低減するファンド、またはその仕組み。
◆投資環境の全般的な定量化(例えばインデックスの設計思想やアルゴリズム等の理論的背景がレビューされた投資信託説明書など)。
仮にトレードオフが発生するとした場合に割を喰う人たちに対して不利益の押し付けにならないような「全体最適」の視点がこのような要望にも必要に思います。
設問②:『あなたの10年後の未来予測をお聞かせください。20回目(10年後)のFOY受賞ファンドは?』
こちらは設問①で書いたことが実現されれば自ずと流れは決まると思いますし、無責任な予想はできないので空欄にしました。が、今思うと以下のように書けばよかったと思います。
◆コストという限られた指標だけではなく、指数の統計特性が定量的に設計され、指数への連動性(運用品質)、長期継続性などにも総合的に配慮されたインデックスファンド。
【まとめ】
このブログは割とインデックス投資(パッシブ投資)の問題点を考察することが多いですけど、それは課題出しをして対策を講じていかないといつまでも進化しないと考えるからです(ちなみに痛◯ニュースに出てくるような「意識高い系」になるつもりはないです。それが仕事の進め方として当たり前と考えるからです。念のため)。
つまり「未来(マイナスサムゲーム)を見据え、論理的に考えられた、資産形成に資するインデックスファンド」が理想であり、「全体最適」と「定量」の視点を備えた「コスト主義からの脱却」が、私の望むインデックス投資の未来です。
【余談ヨルダン】
冒頭の写真、左の黄色いウェアのスキーヤーが新雪を華麗に降りていく右でボーダーが二人転がっています。インデックス投資の現状はこんなイメージです(昔から変わらない)。コストだけでなく定量性や課題対応などもインデックス投資に求められる要素ではないでしょうか。
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1. 無題
いつも楽しく読んでます。
運用会社が運用しやすくコストが低いだけの時価加重インデックス投資は私も好きになれません。
インデックス投資は分散投資の一手段であり、分散投資の手段としてリバランスのない時価加重インデックスをあえて選択する理由はないからです。(個人的には最小分散が好きです)
インデックス投資でコストのみが取りざたされるのは優劣が付けやすくまた単純に関心が高いからだと思います。連動品質やリスク管理などは優劣を一概に比較できませんし投資成績に直結するものでもないからです。乖離度が上振れするのは歓迎する人が大多数でしょうし。。
指数の説明は目論見書や運用報告書にはありませんが指数会社のサイトから設計思想や数学的記述を(ある程度は)知ることができます。MSCIパンフレットとか。
指数の説明に関しては私はあれで十分なのですが、Rockyさんはそれでは不十分ですか?
まあ乖離した時の問題点の記述が運用報告書にないことなどは私も不満に思いますが。。
個人の保有期間によって運用管理費用が低減する仕組みはほしいところですが、金融機関の都合を考えると難しい気がします。emaxis slimのように純資産が増えたら信託報酬引き下げか、もっと受益者よりになったとしても投資額による信託報酬低減が関の山かと思います。
インデックス投資はまだまだ過渡期でこれからはコスト以外の特性も向上していくのだと信じています。