アセットアロケーションの決め方にはいろいろあると思います。
私も過去にいくつかやってきました。
・パレート解探索から求める方法
・構成比均等化(積分比率最大)から求める方法
・リスク低減率から求める方法
・フィーリング(←今のアセットアロケがこれ)
今回の企画は「リターン/リスク」の最大化、最低3資産10%以上1%単位、コストを考慮する必要がないこと(訂正:コストは基準価額に含まれます)、並みの平均化では勝てないこと、がポイントだと思います(インデックスファンドなんで勝つ必要はないのですが。。)。
ここ数ヶ月で大きく変動したリターンに比べてリスクは安定しているので、リスクを基準に考えようと思います。すると上の4つの他に、
・リスクの逆数で重みづけ
というのもアリかなと思います。
まず計算の材料を集めます。基本的に企画の条件をトレースします。
eMAXISの日次データから2010年9月14日から2013年1月31日までの期間で月次のリターン、リスク、相関係数を算出します。
(リターンとリスク)
(相関係数)
ではこれらを用いていくつかポートフォリオを考えます。
【案1:リスク低減率最小化】
先日導出したリスク低減率最小の条件
Wk=((σ1+σ2+・・・+σn)-σk)/((n-1)*(σ1+σ2+・・・+σn))
リターン:0.86%(年換算10.8%)
リスク:3.41%(年換算11.8%)
リターン/リスク:0.25(年換算0.92)
【案2:リスクの逆数で重みづけ=GPIF的】
単純にリスクの逆数による加重平均
※今回気づいたのですがGPIFのポートフォリオはこのリスクの逆数の比に近いものがあります。
リターン:0.48%(年換算5.9%)
リスク:1.55%(年換算5.4%)
リターン/リスク:0.31(年換算1.10)
ただ案1では平均的すぎて上位に入れないと思いますし、案2はそもそも10%以上を満たしていません。8資産すべて使うとどうしても"眠く"なってしまうので、適当に資産を減らすことも考えられます。また企画側の狙いは効率的フロンティアを実感してもらうことだと思いながらこの2つには相関係数の概念が含まれていません(リスク低減率も結果的に消えている)。したがって、
【案3:リターン/リスク最大化】
10%以上、5%ピッチで総当たり(19188通り)
(パレート図)
横軸にリスク、縦軸にリターン/リスクを取っています。
クラス分けがあるのでリスクも見るべきですが単純にリターン/リスク最大を取ると、
リターン:0.32%(年換算3.9%)
リスク:0.64%(年換算2.2%)
リターン/リスク:0.50(年換算1.76)
・・・ですよねぇ。
今回の日本債は単独ではリターン/リスクは高くないですがグロ債や成績のよいJREITが相関係数を絡めて少しブレンドされるだけでかなり向上します。
しかしこのポートフォリオだと勝っても抽選ってことになりかねずJREITも最近上がりすぎな気がします。
そもそも過去の記録は未来を保証しないし(特にリターン)、ブレの小さいリスクに重点を置くにしても、確率的においしく感度の低いリスク低減率最小が無難かなあと考えます。今回は月単位という短いタップで算出したのでリスクも相関係数もかなり変動しています。
でもやっぱりニュートラルだと勝てないですよね。むしろ絶不調な少数組でリスク低減率最小にするのが瞬発力もあっていいかも。結局3ケ月なんでフィーリングでどうにでもなるでしょう。ということで、
【案4:新興株、新興債、日本債の3資産でリスク低減率最小化】
リターン:0.43%(年換算5.3%)
リスク:2.17%(年換算7.5%)
リターン/リスク:0.20(年換算0.70)
案1〜4までをプロットしたパレート図をもう一度貼ります。
(パレート図)
なんだかんだで案4で行きます。絶対的な位置はよくないですが相対的には3資産の重心的な位置にいますね。
パレート解探索は使用する数字にひとつでも飛び抜けたものがあるとそれに引っ張られて大変です。科学や技術の現場では信頼できる数字を使用できると思いますが投資の数字はあてにならないのでフィーリングを入れたり平均(資産クラスや国・通貨、等配分など)を意識するのがよいと最近は考えています。
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