残念なお知らせです。
前にリスク低減率というのを定義しました。ところがそれを最小化する配分を記述する一般形が間違っていました。
Wk=((Σσi)-σk)/((n-1)*(Σσi)) ・・・①
証明せずに使うのはやはりマズいよなと思って考えてみたらどうも違うようです。少なくとも私がポートフォリオ対決で選んだあの3資産のあの配分ではリスク低減率が最小にならないことを確認しました。
2変数のときは
f(W1,W2,r)=(W1^2*σ1^2+W2^2*σ2^2+2*r*W1*W2*σ1*σ2)^(1/2)
より、
∂(f(W1,W2,r)/f(W1,W2,1))/∂W1=0
を解くことで
W1=σ2/σ1*W2
が出てきます。rは確かにキャンセルされます。さらに
W1+W2=1
より、
W1=σ2/(σ1+σ2)
W2=σ1/(σ1+σ2)
2変数なら解析的に解けます。しかし3変数以上になるとちょっと手に負えなくなりギブアップです。ましてn変数の一般形など無理でした。Mathematica等なら簡単に計算してくれますかね。
普段から間違いのないように気をつけてはいますが・・・お詫び申し上げます。
独自規格でコケると痛いですな。ポートフォリオ対決あれで行っちゃったよ(´~`;)
(長くなるのでこの先はつづきへ)
別の導出方法がないかと考えてみると、2変数ではお互いのσの比になるので、すべての変数をW1で表すと、
W2=σ1/σ2*W1
W3=σ1/σ3*W1
・・・
Wn=σ1/σn*W1
W1+W2+W3+・・・+Wn=1
より、
W1=(1/σ1)/(1/σ1+1/σ2+・・・+1/σn)
他の変数も同様で、
Wk=(1/σk)/(Σ(1/σi)) ・・・②
しかし2変数の結果を多変数に適用するのはダメな気がします。現にこれも微妙に最小にならないです。やはり3変数以上はrに依存するか関数型が違うと思われます。
ただ、実はこれポートフォリオ対決のときの案2、リスクの逆数の比です。あの時は適当に考えたのですが今回たまたま一致しました。適当と言っても普通に最適化すると日本債80%になってつまらないから、そうならないような定義ができないかと考えた結果です。
以前からフィーリングや最適化以外の何かで自動的にアセットアロケが決まるような定式化ができないか考えています。ところがなかなか難しいものがあります。
そこで、数学的金融的根拠はないのですがいくつか定式化してみます。
①式から
f(σ)=((Σσ)-σ)/((n-1)*(Σσ))
②式から
g(σ)=σ/(Σσ)
というふうに置いて代入するσの形を変えます。各資産の具体的なσはポートフォリオ対決のときの数字を用います。
【8資産】
【ポートフォリオ対決の3資産】
【ついでにGPIFの4資産】
この中ではf(σ)かf(√σ)、g(1/√σ)がバランスよさそうに見えます。リスク低減率を最小にするなら②そのままであるg(1/σ)が最も近いです。
定式化にリスク低減率最小がよいと思ったのは相関係数によらずσだけで決まる(と思い込んだ)からです。リターン、リスクと同様に相関係数にも時間依存があります。変動要因をひとつでも消せればよいと考えました。一方で分散投資のキモである相関係数を無視するのはまかりならんという気もします。
ただ特徴量としてσだけでアセットアロケを決めるのは厳しいでしょうか。確かにリターンや相関係数もよい特徴量であり、用いると最適化の幅が広がると思いますが、計算が複雑になるし結局似たような傾向があります。
Group リスク大:新興株、グロ株、日本株、GREIT、JREIT
Group リスク中:新興債、グロ債
Group リスク小:日本債
のような5トップになってしまう感じです。トップ下には新興債を押します。守りがひとりしかいないのが分散投資や均等型の弱点ではないかと思います。監督である最適化は計算上ベストな布陣を決めることはできるはずですが。
ベースを上記のような定義で決めて、その後新興株増やしたり日本株グロ債減らしたりといった盆栽いじりすればよいのかもしれません。新興国はブラジルのように介入があるから余計なシステマティックリスクやコスト要因を排除すべき、などそれぞれの考え方でアレンジすればよいと思います。
もちろん定式化や最適化なんぞに囚われず、個人の考え・責任で自由に決めるべきです。
実際のところ効率的フロンティアで配分を決めている方はどれくらいみえるのでしょうか。
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