ETFにも信託財産留保額が設定されたものがあります(1550,1680,1681など)。しかし株式と同じように取引するETFでそんなものは引かれた覚えがない、何だこれはと思われている方も見えると思います。
指定参加者(証券会社、機関投資家)や大口投資家(例えば10万口以上)がETFを交換(償還)する際に発生するものというのが個人的な理解です。
ETFが市場で基準価額に対してプレミアムがついていれば上記の投資家はETFの原資産を拠出してETFを基準価額で設定し、運用会社から受け取ったETF(受益証券)を取引価格で売却するという裁定取引が行われます。逆にディスカウントならば市場でETFを安く仕入れて基準価額で売却する(交換)。後者の時に普通の投信と同じように信託財産留保額がかかる。つまりETF(FOF)の投資先ファンドの信託財産留保額。(参考:
ETFの仕組みは?(東証))
よって私のような市場でETFを取引する末端の投資家には直接は関係ないものです。ただ普通の投信と同じようにこの信託財産留保額が基準価額にプラスのリターンをもたらす可能性はあると思います。
しかし、ディスカウントが信託財産留保額(=しきい値)以上でなければ裁定は起こりません。取引価格が下方乖離しやすい理由はこれでしょうか。
これらを総合すると、機関投資家が残してくれる信託財産留保額とディスカウント分のしきい値が相殺され長期的にはプラスマイナスゼロとも思えます。どちらが強いかは裁定の頻度で決まるのではないでしょうか。
まぁでも、機関投資家も信託財産留保額は払いたくないでしょうから取引価格は「基準価額-信託財産留保額」に収束しそうな気がします。
VWOの取引価格のバラツキの記事で触れた取引価格の余剰リターンも、この裁定取引が源泉になっているとも考えられますが、彼らがわざわざ我々にリターンをもたらしてくれるとも思えないので、やはり信託財産留保額分の下方圧力は残りそう。
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