MSCIbarraから米ドル建ての指数情報をいただき、日銀のドル円で換算します。MonthlyのGross(配当込み)です。Equal Weighted Indexは1998年12月の登場のようなのでそこからです。
◆時価総額:ACWI Standard (Large+Mid Cap)
◆等配分:ACWI EQUAL WEIGHTED Standard (Large+Mid Cap) Equal Weighted
どのような見せ方がいいかいろいろ考えましたところ、やはり時系列変化がよいと判断しました。そこでまず、あるタップにおける移動相乗平均(リターン)の年率換算と移動標準偏差(リスク)の年率換算、およびそのシャープレシオの推移を時価総額、等配分でそれぞれ算出します。そして時価総額から見た等配分の差分の推移をプロットします。タップはあまり長すぎても表示できる期間が短くなってしまうので1年と3年とします。移動計算にしたのは、期間の取り方(始点、タップ)でいかようにもできるのでその偏りが無いようにするためです。
【タップ1年の場合】
【タップ3年の場合】
プラス側が等配分の方が大きいことを意味します。移動計算の全期間の平均は以下の通りです。
1年 |
時価総額 |
等配分 |
差分 |
3年年率 |
時価総額 |
等配分 |
差分 |
リターン |
5.0% |
10.5% |
5.5% |
リターン |
1.8% |
7.5% |
5.7% |
リスク |
17.1% |
18.6% |
1.6% |
リスク |
18.7% |
20.7% |
2.1% |
シャープレシオ |
0.71 |
1.00 |
0.29 |
シャープレシオ |
0.33 |
0.62 |
0.29 |
【所感】
グラフのように時期によっては逆転することもありますが、平均的にはリターンもリスクも等配分インデックスの方が大きいです。リスクが大きい点は中小型株が支配的になるということで注意する必要があります。しかし、それ以上にリターンが「おいおい、ちょっと待てよ・・・」と溜息が出るくらい秀逸です。リスクの上昇に対してリターンの効率がよいのはシャープレシオを見れば明らかです。ここ最近不調なのは不調のときに仕込めるので渡りに船です。
私が先日の記事で「アクティブも等配分にすればインデックスに勝てる」と言ったのは、このようにリターンの差が信託報酬差以上あるので時価総額インデックスをベンチマークにしたインデックスファンドに結構な確率で優ると考えたからです。逆に時価総額加重を市場の総意=市場平均とするインデックスは手加減しているとも言えます。そのインデックスに勝てないアクティブって何してんの?ということになります。
残念ですわ。時価総額加重は運用する立場からすれば合理的だと思いますが投資家側から見ればそうとは限りません。ぶっちゃけ市場の都合なんてどうでもいいんですよ。時価総額が大きくないと運用に支障をきたすならそういうものは外したり間引けばよくて本質は大型株を均していただければいいんです。
インデックスなら低コストで分散もできて順風満帆というわけではなく、同じ投資対象でも連動するインデックスで、つまり意味のある分散かどうかで結果が変わりうるということです。時価総額=配分が変わってもそれに応じて加重平均する(つまり何もしない)ということは、言わばリバランスを放棄してポートフォリオを放置しているわけで、そういう意味でも投資でよく語られる一般論とズレています。
そもそもメジャーな時価総額インデックスは中型株程度までしか含まれておらず大型株に偏りすぎなので、多少なりとも中型株が増える等配分がちょうどいいです。懸念として等配分はすでにおいしいところを持っていかれてしまって今後見込みナシかもしれないという不安はあります。
あと重要なのはこの前ご指摘いただいたように時価総額インデックスと同程度のコストで等配分インデックスが可能かどうかです。等配分は定期的にリバランスが必要なのである程度のコストはかかると思います。個人的には信託財産留保額0.5%くらいでもいいから等配分インデックスをやってもらいたいです。
不満や希望ばかり言ってても仕方ないので自分でできることをします。
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1. 無題
一連のエントリー、興味深い内容でした。
>ぶっちゃけ市場の都合
等配分が出ないのは、このエントリーの通りファンドビジネスに不都合だからかな?と思いますね。
Feeは時価総額物より若干高めですが、GuggenheimのS&P500や、ラッセル1000+2000のEqual Weight ETFを使えば、米株は可能ですね。たしかMSCI-EMもあった様な気がします。