CWI=Capitalization Weighted Index=時価加重インデックスとします。実に興味深いレポートがありましたのでご紹介させていただきます。
たまたま見つけた機関投資家向けのレポートです。いくつかトピックセンテンスを引用しながら自分の考えと照らし合わせていきます。
【時価加重の問題点】
・一部の大型銘柄や国、業種に偏りすぎ
・市場心理学の影響を受ける
・リスクに対するリターン効率が悪い
→全くその通りだと思います。
ただし時価加重は「市場参加者全体の加重平均リターン」を表すため市場環境のモノサシとして分析に有効。しかし「市場参加者が合理的でない局面では当然リスク・リターンは効率的にはならない」。よって「アクティブマネージャーを選ぶのと同等の注意を払って市場インデックスを選択する必要がある」。
【対策】
時価加重の問題点を把握し、自分が求めるモノとその目的を考えて最適な非時価加重インデックスを選ぶ必要があります。いくつか非時価加重インデックスが挙げられている中で個人的に興味があるのは考え方がシンプルな以下のふたつです。
①イコールウェイトインデックス(「平準化グループ」)
図表4「時価加重インデックスの構成イメージ」を累積のウェイトヒストグラムで表すと以下のようになります。
上位x銘柄で時価のy%を占めるということを割合で表した相関図で言っていることは同じです。また図表5「イコールウェイトインデックスのリターン特性」で先日のインデックス対決と同じ考えのものが示されています。
ちなみにEWIは「逆張り的(マイナスモメンタム的)な要素を持つインデックス」。そのため市場環境によって好不調はあります。
②最小ボラティリティインデックス(「リスク・リターン改善型グループ」)
このインデックスを実現するための"リターンを考慮しない合成リスク最小ウェイト"は以下で表されると考えています。
これ実際に計算しようとすると逆行列の演算量がO(n!)とかO(n^3)のオーダーと言われているので大変です(Oはランダウの記号)。例えば銘柄が1000あれば1000!や1000^3回のオーダーの計算をしないといけません。
個人的に最近リスクを下げようという方針に変わりつつあるのでこの最小ボラティリティインデックスにも興味があります。ゴールまでそれなりに時間があるのでリスクは取れるのですが、「
シグマで失われるリターン」で考えたことが引っかかっているからです。
この図のように例えばシグマが15%と20%で1%も消失リターンに差が出てくることがわかりました。よって不確実な期待リターンを追うより無駄なリスクによるリターンの消失を避けることで投資効率を上げたいと考えています。
なお「リスク単位あたりのリターンの最大化を目的」(=原点を通り効率的フロンティアに接する傾き最大の直線=シャープレシオ最大)とするインデックスは、リターンが変わりやすいということとそれに応じて頻繁に売買を繰り返す必要がありそうなイメージがあります。リスクはリターンに比べれば変化率が小さいため頻繁な変更が必要なく効率的と考えています。
レポートの主は日興アセットの方です。日興AMは非時価加重の考え方を持っていらっしゃるようなのでもしかしたらそのうち出してくれるかもしれませんね。日興AMはETFに積極的ですが投資信託(年金積立)で実現してくれるとありがたいです。
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1. 無題
いいですね
小型やバリューの影響という説もありますが
私は別の説を考えています
株価収益率の分布が対数正規分布に近似できるので
投資家の成績の分布も同じにようになります
等金額加重は銘柄数が多く、大数の法則が働くので
その成績は対数正規分布の平均値に近づきます
対数正規分布では平均値>中央値なので
大半の投資家の成績を上回ります
時価総額加重が負ける原因は
時価総額上位の銘柄の影響が大きく
大数の法則が比較的働きにくいからだと思います