では実際に計算して確認したいと思います。今回は以下のように3資産でシグマや相関をエイヤで設定して有効フロンティアを描いてみます。
リターン:μ1=0.10,μ2=0.05,μ3=0.00
シグマ:σ1=0.20,σ2=0.10,σ3=0.05
相関係数:r12=0.50,r13=0.00,r23=-0.50
(行列演算にはRubyというスクリプト言語を用いています)
青い点が各資産のリスクリターン、オレンジが3資産の有効フロンティアです。水色の点は等配分です。残りの3色の線は3資産の内の2資産の有効フロンティアです。ここからいろいろな知見が得られます。
まずオレンジが途中で切れているのはそれより外側ではウェイトがマイナスになる資産があるからです。この場合は3資産で有効フロンティアに乗る配分を決めることは不可能で、他の2資産のみで考える必要があります。それがリターンの低いところの黄色であったり高いところの緑です。またそのためこの場合のオレンジはシグマの極小値を持っていません。
このようにリスクリターンや相関、あるいはnといった条件によってウェイトに「解なし」の場合があることがわかります。
一方リターン5%前後の部分ではオレンジが最もシグマが小さくなります。オレンジと黄色と緑で囲まれた領域は3資産でないと実現できません。これが求めたかった3資産以上の有効フロンティアです(2資産ならシグマ(ウェイト)に応じてリターンが一意に決まるが3資産以上は行列演算が必要)。この条件では等配分がなかなかいいところに来ています。
この絵の見方を少し変えて、有効フロンティアを構成するウェイトを合成リターンの関数で描いたものが以下です。
最初の図の3資産を右上からA、B、Cと名づけています。合成リターンが0から2%の範囲ではBCの組み合わせ、2から7%ではABC、7から10%ではABの組み合わせで有効フロンティアを構成するウェイトが決まります。そのときのシグマをグレーの線で示しています。
ABC各資産のウェイトが直線で変化することは「
有効フロンティアについてI」で求めた式からも明らかです(Rの一次式)。また組み合わせが変わる変曲点では不連続ではないが傾きに飛びがあることがわかります。
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