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インデックス・ドライバー

効率的市場という幻想をぶち壊す統計的インデックス

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効率的市場という幻想をぶち壊す統計的インデックス

効率的市場仮説を享受するためにインデックス運用があるのではない。

インデックスにとって効率的市場は構成要件ではない。関係もない。市場の効率性を仮定しないと成り立たないという必然性もインデックスには存在しない。

インデックスは分散とコストを両立させるための"手段"である。(時価加重の)市場平均を得ることが目的ではない。統計により人間の心理的誤判断を排して運用結果を機械的に極大化することがインデックスの目的である。

このように「インデックスの求める平均≠市場平均(時価加重平均)」にも関わらず、なぜインデックスが効率的市場仮説(=市場平均)と結びつけて議論されるのか疑問でした。

そもそも効率的という言葉からして曖昧でわかりにくいのですが、以下のような仮定です。

【効率的市場仮説】
『市場が新しい情報を迅速に、そしてほとんどの場合適切に、株価に反映する』
(ウォール街のランダム・ウォーカー(原著第9版)P.332)

市場(自分たち)を過信しすぎではないですか。これが成り立つなら割安という言葉は存在しないし、心理や不安という文字が新聞で踊る理由もありません。ここから時価加重が導かれるようですが、需要があってからウェイトを増やすような後手後手の理屈という印象です。上がってからでは遅いですよね。そもそも市場が決めた価格が正しいなんて誰が証明したのか(だから仮説なんでしょうけど)。人間のやること、特にお金が絡むことなんて信用できるわけがないじゃないですか。

統計的指数、特に等配分(イコールウェイト)インデックスを理解するにつれて、インデックス運用に関して二つの立場があることに気づきました。

【証券サイド】
価格に反映される瞬間のシグマで稼ぐという短期的な視点(例:Market Capitalization Weight)
「インデックスは市場の総意を反映した投資のドリーム・チームである」

【統計サイド】
時間と数の誤差論によりシグマを低減させ平均を得るという長期的な視点(例:Equal Weight)
「インデックスは市場心理を排除して数学的合理性を実現するための自動機械である」

株価に「織り込まれる」という定性的な言葉で何でも思い通りにしようとする証券屋の思想と、シグマという「ノイズ」を定量的に扱おうとする統計屋の思想。数値変動と対峙する証券投資で統計的手法が広がっていないことを不思議に思っていましたが、効率的市場仮説に囚われた証券屋の思考が蔓延している金融市場では時価加重しか生み出せなかったのも納得できます。だからその市場の総意とやらが合理的でないんですよ。登場人物がみんな自分勝手だから。

効率的市場仮説に基づく時価加重が残念ならば、それはその仮説が正しくないということ。これに関して特に疑問はありませんし、1か0かで白黒つける必要もないと思います(正しくても間違いでもどうでもいい)。その理屈があてはまる時もあればあてはまらない時もあるでしょう。すべてに対して完全な回答が得られる問題ではないのだから、誤差をもって議論すればいいだけの話です。

科学の分野では、例えば実験結果や観測データの有意性、メカのマージン設計や露光機のアライメント精度など、あらゆるところであたり前のように統計が用いられています。市場のようにシグマと一緒にブレまくっているだけでは同じ過ちの繰り返しです。統計を金融にも適用することで非効率な市場で効率的に振る舞うことができると考えます。

しかしながらシグマを増幅してくれるからこそ安く買うこともできますし、持株を売り払うこともできました。踊り狂う市場はある意味「必要悪」とも言えます。

ちなみに私は効率的市場仮説が成り立たないから株価が予想できると言っているわけではありません。魔法でも使えれば話は別ですが、依然として予想できない(予想する必要のない)非合理な集合をバラツキと確率の考え方で合理的に捉えようと言っているだけです。また「インデックス投資はもうダメでしょう」と言っているわけでもありません。時価加重インデックスより効率的なインデックスが存在すると言っているだけです。

余談になりますが、私は効率的市場仮説と「ランダム・ウォーク」も関係ないと考えています。

【ランダム・ウォーク】
『物事の過去の動きからは、将来の動きや方向性を予測することは不可能である』
(ウォール街のランダム・ウォーカー(原著第9版)P.19)

時間軸方向の自身との相関がゼロ、つまり自己相関ゼロを意味しているにすぎず、効率的市場とは切り離して考えるべきです。私はこちらは正しいと考えていて、nを時間として概略√n倍でリスクが増大する根拠であると認識しています。

まずはその効率的市場仮説ありきの考え方はやめませんか。統計的手法を実現するための単なる手段であるインデックスに市場の効率性は関係ないからです。また合成リスクや時間リスクといった考え方も統計学を根拠とするものであって効率性云々は関係ありません(非効率でも統計量は算出できる)。インデックスは市場平均(時価加重平均)でなければならないとか、インデックスだから市場平均しか取れなくていいという考えは捨てましょう。

勝ちとか負けとかひとくくりにするのは好きではありませんが、わかりやすいのは事実なので次のようにまとめます。

「機関投資家(アクティブ)≦市場平均(時価加重インデックス)<統計的インデックス」

市場が効率的と信じているなら、そんな幻想はぶち壊した方がいい。

統計に基づいて論理的に行動すれば市場が勝手に負けてくれる。あの非論理的な連中は元より、金融という限られた世界にしか及ばない仮説に宇宙のあらゆる事象を支える統計が負けるはずがない。

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