#長いので前中後編に分けます。
バンガードを含む運用機関が等金額等の非時価加重インデックスを採用しないのを残念に思っています。一方MSCIやFTSE、ラッセル、日興アセットといった指数メーカーは非時価加重インデックスを押し出している感じがします。
主な理由(課題)として考えられることは、
①流動性等の運用実現性
②コスト(リバランスコスト、ライセンス料、、、)
バンガードもおそらく等金額の統計的有効性は認識していると信じていますが、まずはファンドを提供できること及びコストを優先して時価加重を採用しているのではないかと考えます。換言すればコストに見合う価値がないと判断しているとも言えます(それともそういうのはアクティブファンドで運用しているか?)。①は市場に影響があるなら別に時価の小さい銘柄を含む必要はないのですが。
一方アクティブファンドならインデックスに囚われず自由に等金額を採用すればいいのに検索にもあまり引っかかりません(少なくとも日本では)。インデックス投資ナイトでもあったようにアクティブの場合は成績が悪いと左遷されるファンドマネジャーの心理から冒険できないのが理由の一つではないかと思います。例えばトヨタをたくさん入れない勇気がないとか、他社・他人を意識しすぎといったことです(等配分なら"絶対"に下位20%にはならないと思うんですが→母集団が同じで他がみんな時価加重ならたまたま下位20%になる可能性はあります)。
あとは、
③有効性を理解していない
単に担当者が統計に基づいたウェイティングの意味を理解していないだけかも知れません。
・・・これらのようなことを考えていたら、ふと次のことが浮かんできました。
④パテントが押さえられているのではないか
特許庁のページで検索してみます。検索式は「時価×(投資+運用)/(要約・請求の範囲)」で、120件ヒットしました。その中からそれらしいものを探すと一つありました。
発明の名称:時価総額加重でない指数運用システム、方法、およびコンピュータプログラム製品
公表:2007.8.9
出願:2005.1.27(特願2006-552146)
(優先権が主張されていて2004.2.4(US)、2004.10.12(US))
発明の名称がまんまですね(´~`;)
ここで一旦切ります。次回「非時価加重運用の特許(2/3)」でこのパテントの内容を確認します。
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余談になりますが、今回の検索でヒットした中で、聞いたことのある会社が出しているものやインデックス投資に関係ありそうなものをいくつか確認しておきます。上から公報番号、発明の名称、出願人、要約(請求項1から適当に抜き出し)です。
◆特開2005-284715
基準価額算定方法及び基準価額算定プログラム
みずほ信託銀行株式会社
基準価額算定日において、前記前日の時価データを使用して、前記投資信託データベースに記憶されている投資対象である有価証券毎の価値の合計値を求め、この合計値を口数で除算することにより投資信託の基準価額を算定
◆特開2005-100101
マーケットメイクシステム
野村證券株式会社
価格調整指数設定手段により設定された価格調整指数及び前記時価データ取得手段により取得された前記先物の時価データに基づいて、前記株価指数連動型投資信託受益証券の売買価格を算出
◆特開2004-192660
売買注文に付された発注条件の条件自動設定システム及び条件自動設定の方法
カブドットコム証券株式会社
確定トリガの合致を検出すると、注文内容格納手段に格納された前記確定条件に対応する売買注文を特定、または発注トリガ格納手段に格納された前記確定条件に対応する発注条件を特定のうち、少なくとも一つの更新を実行
◆特開2003-173393
地域インデックス及び地域インデックス・ファンドの生成処理方法、生成処理装置、表示装置、及びプログラム
株式会社大和証券グループ本社
地元銘柄の時価総額と前記地域事業所銘柄の時価総額の所定割合とを合計して前記地域銘柄の時価総額を算出し、特定日の地域銘柄の時価総額を基準時価総額で除して地域インデックスを生成
◆特開2003-150779
パッシブ運用管理システム及びその方法
みずほ信託銀行株式会社
ポートフォリオデータと前記ベンチマークデータからなる時価資産内容との乖離幅が所定のリスク設定値を超える場合に、リバランス実行指示を行う
◆特開2002-133123
確定拠出型年金運用支援システム
株式会社野村総合研究所
貯蓄額算出手段により算出された金額を所定の期間で貯蓄するために必要な利回りを算出する利回算出手段と、前記利回算出手段により算出された利回りを達成するための商品配分を提示する商品配分提示手段と、を備える
◆特開2002-109206
ポートフォリオにおけるリバランス戦略の優劣判定システム
ニッセイアセットマネジメント株式会社
ベンチマークの収益率(リターン)と、リバランス戦略を行う為に必要なリバランスコストと、t時点におけるポートフォリオ全体の時価P(t)、及び、t時点における資産iの時価構成比Wi(t)に基づいてシミュレーションを行い、クライアント側装置でリバランス戦略の優劣を比較可能とした
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