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非時価加重運用の特許(2/3)

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非時価加重運用の特許(2/3)

非時価加重運用の特許(1/3)」からの続きです。

特表2007-522562(リサーチ アフィリエイツ エルエルシー)

独立クレームは1、38、39、40。要約してみます。

[請求項1]
資産における時価総額でない加重ポートフォリオを構築する方法であって、複数の資産それぞれの客観的な尺度に基づいた指数で、前記複数の資産のそれぞれに重み付ける工程とを備え、時価総額、イコールウエイト、または株価ウエイトのうち少なくとも1つに基づいた重み付けでない重みを付ける工程とを備えた方法
(※時価加重ではないけどイコールウェイトも除外しています)

[請求項38]
請求項1のシステム版

[請求項39]
請求項1を備えたプロセッサ

[請求項40]
請求項1のプログラム版

【検討結果】
まず従来例に「パッシブポートフォリオは、時価総額ウエイト、イコールウエイト、および株価ウエイトのうち1つを用いて重み付けた指数に基づいて構築されている」とあります。

それに対して、発明が解決しようとする課題は「時価総額ウエイトのパッシブ指数を利用する欠点は、任意の割安の有価証券が指数および関連のポートフォリオで低く格付けされ(underweighted)、一方で任意の割高の有価証券が高く格付けされ(over weighted)という事実を重点としている点である。さらに、時価総額ウエイトに基づいたポートフォリオは、あらゆる市場(または市場区分)のバブル景気そしてあらゆる相場の下落に追従する」とあります。

その課題を解決するための手段が"客観的な尺度に基づいた指数で重みづける"ということのようです。「客観的な尺度」とは「帳簿価額、販売、収入、所得、株当り利益、収入、収入成長率、配当、1株当たりの配当、利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益などを含むがこれらに限定されず、有価証券を発行する企業の様々な財務データ」とあります。

よって本件の狙いはシグマや相関等を用いた統計量加重インデックスではなく、今話題のR/Nファンダメンタルプライムインデックスのような財務指標加重インデックスを想定しているものと考えられます。

しかしながら、本文中に「別の典型的な実施例では、財務でない、時価総額でない」とありますし、メインクレームにも特定要素の限定はされていません(サブクレームにも統計的要素の限定はありませんが)。したがってシグマや相関等を「客観的な尺度」として加重した場合でも抵触する恐れがあります(このまま通るとは思えませんが)。一方、本文を読む限り少なくともイコールウェイトは公知っぽいので問題ないと思います。

なお財務指標や統計量で銘柄選別しても時価やイコールウェイトで重みづけすれば回避できると思われます。例えばJPX日経インデックス400は財務指標で銘柄選別し加重は時価です(「キャップ」は客観的な尺度に当たらず、どちらかというとイコールウェイトな気がします)。

ちなみにこの明細書で統計に絡む記載は「統計的なモデリングは、指数に含まれているあらゆる有価証券を実際に所有せずに、プロフィール、リスク特性、パフォーマンス特性、および指数の有価証券ウエイト(securities weightings)を複製するポートフォリオを作成するために使用される。(例としては、「Wilshire 5000Equity Index」または「Lehman Aggregate Bond Index」に基づいたポートフォリオがある。)」とあります。例として挙げられている「Wilshire 5000Equity Index」「Barclays Capital(Lehman) Aggregate Bond Index」ともに「market capitalization weighting」なので、ここで言っている「統計的なモデリング」とは統計量で選択・加重するのではなく単に指数を統計的に分析する程度の意味合いではないかと思われます。

請求項1だけで判断すると、ポイントは
・客観的な尺度に基づいた指数で重みづける
・それは時価総額、イコールウエイト、株価ウエイトでない

この二つが主要な構成要件です。よって、
・イコールウェイト(加重は等配分):公知
・統計(加重は統計量):グレー
・ファンダメンタル(加重は財務指標):要検討
・JPX400(加重は時価+キャップ):非該当

ところで次のイコールウェイトに対する文言は気になります。時価加重について「高く評価された有価証券を高く格付けし、低く評価された有価証券を低く格付けするという起こるべくして起こる傾向を生じさせた原因となっている」のはいいのですが、「この原因は、さらに、イコールウエイトに対しも当てはまることであるが、既に残存する(かつ取るに足らない)例外としてそれを除外する」というのはよくわかりません。

実はこのパテント、最近権利化されたようです(平26.2.18)。登録時のクレームがまだわからないのでまたいつか確認しようと思います。これに関してR/NファンダメンタルETF(1598)等でライセンス料が発生するなら、その分は信託報酬として丸々我々に返ってきているはずです。

その他、雑多な内容について「非時価加重運用の特許(3/3)」へ続きます。

=======
あと特許文献記事として記載されているJP件を簡単に確認しておきます。上から公報番号、発明の名称、出願人、要約(請求項1から適当に抜き出し)です。

◆特表2005-525614
投資を構築するための方法と装置
コンステレーション キャピタル マネージメント リミテッド
国内および国際的な金融投資の範囲を、複数の産業ベースのグループに分け、産業ベースのグループの中で金融投資の組み合わせを決定

◆特開2003-187052
企業価値評価システム
株式会社日本経済新聞社
顧客スコア、従業員スコアおよび株主スコアをウェイト付けしてその総合指標をコーポレートブランドスコアとして算出する企業価値評価システム

◆特表2002-512405
指数再均衡化
ザ ナスダック ストック マーケット インコーポレイテッド
大型株式の超過市場価値重み分だけ大型個別株式を縮小させ、小型個別株式の市場価値重み全体にわたり大型個別株式の総計超過市場価値重みを分配させる

◆特表2002-502514
最新の資本化加重値に関する非定値関数を基に動的に加重値を設定し直すことによって金融ポートフォリオを自動的に修正する装置及びその実行方法
エンハンスド インベストメント テクノロジーズ インク
可変加重値のセットに応じて、ポートフォリオの保有している最新の資産を比率に応じて分配するデジタル取引命令

◆特開2003-150779
パッシブ運用管理システム及びその方法
みずほ信託銀行株式会社
ポートフォリオデータと前記ベンチマークデータからなる時価資産内容との乖離幅が所定のリスク設定値を超える場合に、リバランス実行指示を行う

◆特開平10-275177
投資信託のパフォーマンス評価装置およびその評価方法
株式会社野村総合研究所
相関係数が高いファンドを集めてリスク調整後リターン値を求める

◆特開2004-029882
検索銘柄自動通知システム及び方法
株式会社大和証券グループ本社
所定頻度で検索を行うことにより所望の条件を満たす銘柄を定期的に通知する検索銘柄自動通知システム

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