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ゲインにゲインをかけるということ

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ゲインにゲインをかけるということ


『指標の変動率が、TOPIX(東証株価指数)の前日比変動率(%)の-2倍となるように計算された、「TOPIXダブルインバース(-2倍)指数」に連動するETFです。』

日々の変動率はゲイン(比)です(アナログ的なゲイン)。レバレッジ指数・インバース指数はそれに対してさらに2倍等のゲインをかけます(デジタル的なゲイン)。「ゲインにゲインをかける」とは、前段でゲインをかけて後段でさらにゲインアップすることを指します。

この場合よく言われる注意事項があります。

①2営業日以上離れた期間での比較においては、複利効果により、原指標の変動率以上又は未満となる場合があります。
②原指標が上昇・下落を相互に繰り返す場合、上記の複利効果によりレバレッジ指数、及びインバース指数は逓減していくという特性があり、このような場合、投資者は利益を得にくくなりますので注意が必要です。

以前この「原指標の変動率以上又は未満となる」「逓減」についてよくわからない証明をしたことがあります。あれはわかりにくいので別の方法を考えてみます。

μを前日比変動率、aをレバレッジ・インバースのゲイン(今回のETFではa=-2)とします。この変動率を2n(偶数)回複利で掛け続けた後の原指標との比を求めます。

【①について】
◆一方的な方向に動く場合(μ>0とする)
原指標の変動率:(1+μ)^(2n)-1
ゲインの変動率:(1+aμ)^(2n)-1
ゲイン/原指標=[(1+aμ)^(2n)-1]/[(1+μ)^(2n)-1]

2次までテイラー展開
[(1+aμ)^(2n)-1]/[(1+μ)^(2n)-1]
=[2anμ+a^2n(2n-1)μ^2+・・・]/[2nμ+n(2n-1)μ^2+・・・]
=a[2nμ+an(2n-1)μ^2+・・・]/[2nμ+n(2n-1)μ^2+・・・]

(i)1≦aのとき
a[2nμ+an(2n-1)μ^2+・・・]/[2nμ+n(2n-1)μ^2+・・・]≧a
より、原指標の変動率以上となる。

(ii)0≦a<1のとき
a[2nμ+an(2n-1)μ^2+・・・]/[2nμ+n(2n-1)μ^2+・・・]<a
より、原指標の変動率未満となる。

(iii)a<0のとき
a[2nμ+an(2n-1)μ^2+・・・]/[2nμ+n(2n-1)μ^2+・・・]>a
より、原指標の変動率未満となる(ベクトル逆)。

◆上下動を繰り返す場合
原指標の変動率:(1+μ)^(n)(1-μ)^(n)-1=(1-μ^2)^(n)-1
ゲインの変動率:(1+aμ)^(n)(1-aμ)^(n)-1=(1-a^2μ^2)^(n)-1
ゲイン/原指標=[(1-a^2μ^2)^(n)-1]/[(1-μ^2)^(n)-1]

2次までテイラー展開
[(1-a^2μ^2)^(n)-1]/[(1-μ^2)^(n)-1]
=[-a^2nμ^2+(a^4n(n-1)μ^4)/2+・・・]/[-nμ^2+(n(n-1)μ^4)/2+・・・]
=a^2[nμ^2-(a^2n(n-1)μ^4)/2+・・・]/[nμ^2-(n(n-1)μ^4)/2+・・・]

(i)1≦aのとき
a^2[nμ^2-(a^2n(n-1)μ^4)/2+・・・]/[nμ^2-(n(n-1)μ^4)/2+・・・]≦a^2
より、原指標の変動率のa^2以下となることがある。

(ii)-1≦a<1のとき
a^2[nμ^2-(a^2n(n-1)μ^4)/2+・・・]/[nμ^2-(n(n-1)μ^4)/2+・・・]>a^2
より、原指標の変動率のa^2より大きくなることがある。

(iii)a<-1のとき
a^2[nμ^2-(a^2n(n-1)μ^4)/2+・・・]/[nμ^2-(n(n-1)μ^4)/2+・・・]<a^2
より、原指標の変動率のa^2未満となることがある。

【②について】
◆上下動を繰り返す場合
原指標の変動率:(1+μ)^(n)(1-μ)^(n)=(1-μ^2)^(n)
ゲインの変動率:(1+aμ)^(n)(1-aμ)^(n)=(1-a^2μ^2)^(n)
ゲイン/原指標=[(1-a^2μ^2)^(n)]/[(1-μ^2)^(n)]=[(1-a^2μ^2)/(1-μ^2)]^(n)

(i)1≦aのとき
[(1-a^2μ^2)/(1-μ^2)]^(n)≦1
より、原指標から逓減する。

(ii)-1≦a<1のとき
[(1-a^2μ^2)/(1-μ^2)]^(n)>1
より、原指標から逓増する。

(iii)a<-1のとき
[(1-a^2μ^2)/(1-μ^2)]^(n)<1
より、原指標から逓減する。

やっぱり今回も微妙ですね(´・ω・`)とりあえずゲイン系指数はバラツキがバラついたり、減価することになります。ETFの場合は市場カイリやコスト等でこの理屈通りにならない(より変動が助長されたり下方圧力が強くなる)と思われますので注意が必要です。

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