要旨は「短期的には状況に応じてバラツキが発生するが、投資期間が長期になるほど非時価加重インデックスが有意に優位になる」とのことです。そこで「MSCI ACWI(All Country World Index)」の各インデックスのMonthly/Grossデータをもらってきて調べます。
「Market Cap」・・・時価総額加重平均
「Equal Weighted」・・・等配分
「High Dividend」・・・高配当
「Minimum Volatility」・・・最小シグマ
「Momentum」・・・モメンタム
「Quality」・・・クオリティー
「Risk Weighted」・・・リスクウェイト
「Value Weighted」・・・バリューウェイト
全体の期間は「Minimum Volatility」で律速する1993/05/E-2014/08/Eとします。あくまでこの期間の結果であることにご留意願います。USD建ての場合の円換算は日銀のドル円を使っています。これらの指数における以下の統計量のサンプリング周波数(計測期間)依存を考えます。
①平均リターンの時価加重に対する差分
②平均リターンの時価加重に対する勝率
③平均シグマの時価加重に対する差分
ニッセイ研のレポートは指数の時系列を時間方向に1ヶ月ずらしてサンプリングした母集団からさらに1000回の無作為抽出を行っていますが、ここでは単純に時系列を一度だけサンプリングするものとします。また回転率の違いによるコストも考慮していません。これについては最後の超過分を年率xx%で減算すればおおよその見積もりは可能と考えます。
【時価加重に対するリターン差分の周波数依存】
【時価加重に対する勝率の周波数依存】
【時価加重に対するシグマ差分の周波数依存】
【所感】
ニッセイ研とほぼ同様の結果が得られました。どの非時価インデックスもサンプリング周波数が長くなるほど勝率が上がっていきます。またリターンとリスクの差分は周波数で変化するものの勝率のような一方的な傾向は無いようです。
個別に見ていくとまずモメンタムインデックスがすごいのが目立ちます。モメンタムは前に英語のサイトを要約したときに、その名のイメージから具体的なロジックも知らずに非論理的な市場の場当たり的な対応に付き合いたくないとダメ出しをしました(実際のところ興味が無いのでまともに読まずスルーした)。つまりイケイケの時の人間心理を利用するのがよいということでしょうか。ただ次回日本株をやりますがそちらのモメンタムは残念なことになっているのでレバレッジ型のようなゲイン系と似たようなアルゴルなのかも知れません。
次に高配当も非常によろしいです。やはり投資はシグマの中心にいる平均成分を如何に上げつつシグマを抑えるか(SRを上げるか)が重要だと思います。上のモメンタムとおそらく真逆の考え方だと思います。
また最小シグマやリスクウェイトのシグマの小ささも特筆すべき点だと思います。これによる「(σ^2)/2」の効果がリターンの向上に効いていると推測します。
あとクオリティーというのも割といいんですね。JPX400のような指数が分類されるはずです。
その他、バリューウェイトも時価加重よりよろしいです。バリューが時価を上回る(もっと言えばバリューが存在する)ことが市場が効率的でない証だと認識しています。
逆に私イチオシのイコールウェイトがあまりぱっとしません。リターンには周波数依存がありそう(これは嫌な特性ですわ(´・ω・`))ですし、シグマは安定的に時価加重より大きくなっています。MSCIがデータを増強しているのかは分かりませんが、今回は前にインデックス対決をした時よりデータ期間が5年ほど過去に遡れました。今年のインデックス投資ナイト2014で平山さんが「2000年代はイコール、1990年代は時価」とおっしゃっていたものが見えているのかも知れません。イコールウェイトは市場構造的に小型株の割合がアンバランスになる(大数近似が成立しにくい)ことがシグマ増大や状況依存を加速する諸刃の剣になりそうです。なので日経225やS&P500といった割とメジャーで構成要素の規模が桁で大きく変わらない指数のイコールウェイトインデックスがよいのではないかと思います。
総合的に「高配当+イコールウェイトor最小シグマ」の組み合わせが非常によさげだと思います。これも困ったときの等配分ですかね。
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