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時価加重の証明モドキ

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時価加重の証明モドキ

以前から時価加重の数学的な証明を考えています。時価加重は運用コストでは合理的と思われるので、数学的統計的にもなんとか意味付けをできないかと試行錯誤してきたのですが、なかなかうまくいっていません。

私の思想として「合成リスク極小」や「SR極大」など、数学的に極値を取りうる条件を導出することが証明として妥当であると考えています。しかし時価加重の場合はどうしても「時価と変化率(シグマ)」を結びつけることができず、立式することができていません。仮定をもとに式を立てられれば後はいつものラグランジュで落とせると思っています。

構成要素の時価をm1,m2,・・・,mnとすると、時価加重は「Wk=mk/(m1+m2+・・・+mn)」と書けると思います。アプローチとして、過去の知見からこの形になりそうな制約条件を考え、「時価と変化率(シグマ)の関係」に仮定を設けることで(強引に)時価加重を導出してみたいと思います。

【①合成リスク最小配分型時価加重】(→「期待値の分散とEqual Weight」)
規格化されたσに対して構成要素のシグマσkが時価mkの平方根に反比例すると仮定します。またn個の銘柄で相関ゼロを仮定します。

σk=σ/√mk

ポアソン統計の「1/√n」ライクな考え方だと思います。ここで「リスク最小化」を導出します。

合成リスクは、

σf^2=W1^2σ1^2+W2^2σ2^2+・・・+Wn^2σn^2
=W1^2*(σ/√m1)^2+W2^2*(σ/√m2)^2+・・・+Wn^2*(σ/√mn)^2
=(W1^2/m1+W2^2/m2+・・・+Wn^2/mn)σ^2

ここでσf^2を最小化するには

f=W1^2/m1+W2^2/m2+・・・+Wn^2/mn


W1+W2+・・・+Wn=1 ・・・①

の制限条件で極値を求めることになります(√xが単調増加関数なのでσf^2の極値を求めます)。

ここで一般の条件つき極値問題なのでラグランジュの未定乗数法を用います(→参考文献)。

①の左辺-右辺(=W1+W2+・・・+Wn-1=0)をgと置いて次の式を定義します。

f'=f-λg  (λ≠0)

停留点(微分がゼロになる点)を求めると、

∂f'/∂W1=2W1/m1-λ=0
∂f'/∂W2=2W2/m2-λ=0
・・・
∂f'/∂Wn=2Wn/mn-λ=0
∂f'/∂λ=-(W1+W2+・・・+Wn-1)=0

上のn本の式は、

W1=m1*λ/2
W2=m2*λ/2
・・・
Wn=mn*λ/2

これを(n+1)本目の式に代入すると、

m1*λ/2+m2*λ/2+・・・+mn*λ/2=(m1+m2+・・・+mn)λ/2=1

∴λ=2/(m1+m2+・・・+mn)

よって、

W1=m1*λ/2=m1/(m1+m2+・・・+mn)
W2=m2*λ/2=m2/(m1+m2+・・・+mn)
・・・
Wn=mn*λ/2=mn/(m1+m2+・・・+mn)

これは時価加重を表します。なおリターンの方は構成要素すべて同等と仮定すればシグマ極小となる上記が自動的にSR極大となると思います。

ここで(m1,m2,m3)=(3,2,1)の時価を仮定してグラフを描いてみます。

【「σk=σ/√mk」版ポテンシャルの図(3資産、rij=0)@三次元】

【「σk=σ/√mk」版ポテンシャルの図(3資産、rij=0)@二次元】

シグマを時価のルートに反比例すると仮定した場合、上記Wnの通り時価加重比(W1,W2,W3)=(50.0%,33.3%,16.7%)がσ=0.408[normalized]で極小値をとることが確認できます。

【②リスク配分均等型時価加重】(→「リスク配分均等型ポートフォリオ」)
規格化されたσに対して構成要素のシグマσkが時価mkに反比例すると仮定します。またn個の銘柄で相関ゼロを仮定します。

σk=σ/mk

ここで「リスク×ウェイト」を等配分にするという「リスク配分均等型」を導出します。重みづけにより要素ごとのシグマの寄与率を均等化させるというイコールウェイトと最小シグマのブレンドのような考え方です。

n個の要素のシグマ×ウェイトが等しいとします。ウェイトの和は1です。

σ1W1=σ2W2=・・・=σnWn
→(σ/m1)*W1=(σ/m2)*W2=・・・=(σ/mn)*Wn ・・・①
W1+W2+・・・+Wn=1 ・・・②

①式を

(σ/m1)*W1=(σ/m2)*W2=・・・=(σ/mn)*Wn=k

と置くと、

W1=(m1/σ)k、W2=(m2/σ)k、・・・、Wn=(mn/σ)k

これを②式に代入して、

(m1/σ)k+(m2/σ)k+・・・+(mn/σ)k=1

k=σ/(m1+m2+・・・+mn)

ゆえに

Wi=mi/(m1+m2+・・・+mn) (i=1,・・・,n)

これは時価加重を表します。

ここで(m1,m2,m3)=(3,2,1)の時価を仮定してグラフを描いてみます。

【「σk=σ/mk」版ポテンシャルの図(3資産、rij=0)@三次元】

【「σk=σ/mk」版ポテンシャルの図(3資産、rij=0)@二次元】

上記Wiで表される時価加重比(W1,W2,W3)=(50.0%,33.3%,16.7%)、σ=0.289[normalized]はあくまで「リスク×ウェイト」が一様になる条件のため極値をとっていません。シグマを時価に反比例すると仮定した場合、シグマ最小は「合成リスク最小配分の一般形」より(W1,W2,W3)=(64.3%,28.6%,7.1%)、σ=0.267[normalized]となります。

【まとめ】
時価の大きい要素ほどシグマが「1/m」や「1/√m」で低減するという仮定がリーズナブルであれば今回の証明でもよいかなと思います。物理の解析力学にもラグランジアンやハミルトニアンからの帰結である「重たいものほど動かしにくい」という運動の法則(F=ma)がありますので、「シグマが時価に逆比例する(時価総額大→需要と供給が安定→シグマ小)」という仮定もあながち的外れではないかも知れません。

なお、時価加重を効率的とする「資本資産価格モデル(CAPM)」の理屈はリスクプレミアム(市場平均に対する超過リターン)が超過ボラティリティ(共分散)に(正)比例することが前提と認識しています。そちらの「ボラティリティ増大→リターン向上」という仮定と、今回の「時価によるリスク低減→消失リターン低減によるリターン向上」は実質的に同じような意味を表すため結果が一致(時価ウェイト)したと解釈しています(現実としてシグマが時価に依存するかはわかりませんが)。

※あくまで証明モドキです。個人的には時価加重が統計的に合理的とは思っていません。

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