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インデックス・ドライバー

過去との相関について(平滑化と自己相関に関する考察)

指数の時系列変動における、過去の自分自身との相関(自己相関)を考えます。

自己相関とは例えば「前日下がったら次の日は上がる確率が高いの?」というものです(我流ですので統計学の厳密な定義とは異なるかも知れません)。資産運用においてリバランスが効果があるとする根拠として「ミーンリバージョン(平均回帰)」と呼ばれる概念があると思います。これはあるタイムラグを置いた時の指数の自己相関が負であることがリバランスにプラスに寄与することを意味するものであると認識しています。この作用を定量的に確認したいと思います。

MSCI JAPANインデックス(Monthly/Gross/Local/1969/12/31-2015/05/29)から、所定の周期のランニング相乗平均とそれ自身の位相をずらしたものとの同周期のランニング相関係数を求めてみます。なおMSCI KOKUSAIインデックスも確認しましたが傾向は同様でした。

【①MSCI JAPANの自己相関(12ヶ月周期平滑化)】

【②MSCI JAPANの自己相関(60ヶ月周期平滑化)】

【③MSCI JAPANの自己相関の一覧(12ヶ月~120ヶ月周期平滑化)】

【④MSCI JAPANの自己相関の全期間平均(2ヶ月~120ヶ月周期平滑化)】

①、②、③のグラフを見ると相関を表すラインがほとんどマイナス側にあることがわかります。ここから「とある期間を平均化すると負の自己相関が現れる」と解釈できるのではないかと思います。また④の周期依存を求めることで「自己相関によるリバランス周期のアライメント」ができないかと考えていましたが、少なくともこの範囲では周波数依存もほとんどありません。

現実の資産運用ではリバランスにそれなりの有効性が見出されていると思います。これらはそれを裏付ける結果なのではないかと考えています。

しかし今回の考察の動機として「リバランスシミュレータ」ではイマイチ有意差を見出せなかったことがあります。それがシミュレータで使用している擬似乱数に起因するものかを切り分けるために同様に自己相関を確認しておきます(ガウス関数とローレンツ関数のコンボリューションに従う相加平均5%、標準偏差17%相当の乱数を棄却法により生成)。

【⑤擬似乱数の自己相関(12ヶ月周期平滑化)】

【⑥擬似乱数の自己相関(60ヶ月周期平滑化)】

【⑦擬似乱数の自己相関の一覧(12ヶ月~120ヶ月周期平滑化)】

【⑧擬似乱数の自己相関の全期間平均(2ヶ月~120ヶ月周期平滑化)】

結果、シミュレータの乱数においても「平滑化により相関性が見えてきている」と考えることができます。リバランスシミュレータがシグマの低減は再現してリターンの優位性は見えていない点はまた別の考察が必要になりそうです(私のコードが間違っている可能性もありますが)。

次にフーリエ変換により時系列変動の周波数特性を確認します。縦軸はパワースペクトル密度(Power spectral density:PSD)、横軸は周波数(f)ではなく周期(1/f)でプロットしさらに軸を反転させています。

【⑨MSCI JAPANのパワースペクトル密度(非平滑化/12ヶ月ローパス/60ヶ月ローパス)】

【⑩擬似乱数のパワースペクトル密度(非平滑化/12ヶ月ローパス/60ヶ月ローパス)】

非平滑化(ローパスフィルタレス)のパワースペクトル密度の傾きがほぼ「ゼロ」であることが「変動がランダム(自己相関がゼロ)」であることを示していると考えられます(いわゆるホワイトノイズ)。また12ヶ月、60ヶ月タップのローパスフィルタはパワースペクトル密度の高周波成分が落ちることにより平滑化の作用が確認できます。どちらのフィルタも特徴的な周波数は無く、カットオフ以降の傾きはほぼ「1/f^2」です(いわゆるブラウンノイズ。物理学におけるブラウン運動のモデル)。またタップ数に応じてカットオフの位置もシフトしているように見えます。

【仮説と考察】
自己相関に関する有名な法則に「ウィナー・ヒンチン(Wiener-Khinchin)の定理」というものがあります。

PSD(f)=∫[x(t)x*(t-τ)]e^(-2πifτ)dτ

内容は「とある関数の自己相関関数のフーリエ変換がその関数のパワースペクトル密度になる」ということを示しています。その逆変換よりパワースペクトル密度から自己相関関数を求めるとどうなるか考えてみます。

[x(t)x*(t-τ)]=∫PSD(f)e^(2πifτ)df

例えばランダムノイズのPSDが周波数fのゼロ乗(DC成分)、1/f、1/f^2に比例すると考えると、フーリエ変換の公式より、

(i)PSD(f)=c(const)の時
[x(t)x*(t-τ)]=cδ(τ)
ここでδ(τ)はディラックのデルタ関数であり、τ=0で[x(t)x*(t-τ)]=∞、τ≠0で[x(t)x*(t-τ)]=0

(ii)PSD(f)=1/fの時
[x(t)x*(t-τ)]=-iπsgn(τ)
ここでτ>0より[x(t)x*(t-τ)]=-iπ(複素数)

(iii)PSD(f)=1/f^2の時
[x(t)x*(t-τ)]=-iπ[(-2πiτ)^(n-1)/(n-1)!]sgn(τ)
ここでn=2、τ>0より[x(t)x*(t-τ)]=-2π^2τ<0

非平滑化(最小時間分解能あたりの変動)はランダムノイズのf特が直流の場合に相当し、デルタ関数の性質により異なる位相における自己相関がゼロであることがわかります。一方、平滑化は上記で求めたパワースペクトル密度が「1/f^2」であることから自己相関が負になることが確認できます。これは、例えば電気回路における抵抗(R)とコンデンサ(C)で構成されるローパスフィルタの利得(の自乗)は「1/(1+(2πfRC)^2)」で表されますが、時系列変動のローリング相乗平均においても同様の周波数特性が表れるのだと解釈しています。資産をホールドする(リスクにさらす)ということは移動平均を取ることに他ならないと考えられますので、ウィナーヒンチンの定理により自己相関が周期によらず負になることが数学的に示せるのではないかと考えています。

【まとめ】
本考察における自己相関関数と周波数解析のまとめは以下のようにしたいと思います。

「バイアンドホールドにより時系列変動は平滑化され、ウィナー・ヒンチンの定理により自己との負の相関性(平均回帰)が顕現する」

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