このブログは中立に考えるように努めています。ゆえに個別株や分配型の良いところを探そうとしますし、インデックス投資にダメ出しもします。それは視点を広くもち矛盾や課題を指摘して解決していかないと進化できないと考えるからです。以下はインデックス投資で個人的に感じてきた疑問です。どちらも過去に触れたことがあると思いますが改めて。
【①なぜ「平均」が相加平均ではなく加重平均(市場平均)なのか】
インデックス投資は平均を求める投資と言われます。普通、平均と言ったら相加平均だと思います。例えばテストの点数は相加平均で平均するはずです。またケーキは等分すると思います。大きさが違うとケンカになると思います(そういう意味では時価は実力主義ですね)。逆に加重平均が使われるとしたら例えば野球のチーム打率(選手の打数加重)があると思います。
加重平均はファンド運用におけるコストや投資可能性(流動性)では合理だと思います。しかしそれらの理由も後付けではないでしょうか。
インデックス投資は「相場は読めない(読まない)、過去の変動からは未来は予想できない(予想しない)」と仮定することが多いと思います(個人的にはシグマくらいは精度よく推定できると思いますが)。
しかし配当や世界経済の成長を期待値と捉え全体として右上がりを仮定します。その結果、(なぜか)市場平均を採用し、ポートフォリオの歪みを肯定する。市場平均(時価総額加重)はリスクの高いものほど期待リターンも高いという理屈に基づいています。そこには既に過去から未来への推定が入っていますし、そもそも「相乗平均の減価」という統計学に反したものです。
「わからない、予想しない、でも右上がり」なら、なぜすべてを均等に持たないのか。この条件下において均等配分が数学的合理性を備えることは過去に考察した通りです。
結局のところ、ベンチマークとしての市場平均がまず存在し、インデックス投資はその王様を中心に展開されてきた投資法であって、市場平均の是非すら議論されることなく続いてきた。結果的にコストや運用のしやすさで合理であった、ということだと考えています。
特に債券は国債を印刷するだけで時価すなわち加重比率が増えます。債券それ自体の付加価値が増したわけではありません。そこにはリスク(標準偏差やデフォルトリスク)を管理しようという視点が皆無です。市場平均に関しても、「投資家はリスク回避的である」にも関わらずレバレッジインデックスの売買高が大きいなど、時価加重が拠り所とする理屈(効率的市場)に矛盾する現象もいくつか見られます。
少なくとも「インデックスファンドの連動インデックス」と「市場のベンチマーク」は、結果的に同じになることはあっても区別されるものだと考えています。
【②なぜ投資信託の分配が悪とされるのにETFの分配は肯定されるのか】
基本的に分配は課税により複利のスピードを弱めるのでよろしくないと言われます。しかしETFのそれを指摘する声はほとんど聞かれません。またETFは投資信託のような個別元本制度が無いので必ず課税されると認識しています。
苦しいですが「ETFの分配は配当成分のみであってタコ配(元本払戻し)ではない」という理由は立つかも知れません(なので配当成分だけを分配するインデックスファンドがあればそこそこヒットするような気がします)。
国内も海外も同様ですが、特に海外ETFは、
・配当分配による課税ロス、税額控除、確定申告によるリスク等もろもろを考慮した上でコストメリットがある
・日本ではどうしても手に入らない魅力的なインデックスがある
などの定量的な理由に基づいた判断があればよいと思います。しかし単に「経費率が低いから」では見落としている部分があるのではないでしょうか。個人的にはコストメリットが見出せてもいろいろ面倒なので現時点では遠慮しています。
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1. 無題
効率性を一切求めずに、投資の導管たることだけを求めるなら、当該投資信託(あるいはETF)は投資対象を可能な限りそっくりコピーせよということになります。
理想は、投資対象となっている市場を丸ごとすべて買い占める(東証一部の株式が投資対象なら、東証一部で売買される株式を一株残らず買い占める)ことですが、それは著しく困難。
とすれば、現状では、時価総額加重平均インデックス連動投資信託(あるいはETF)が、最もそれに近いといえるんじゃないでしょうか。
この投資対象コピー主義の立場からすれば、効率的市場仮説が正しいかどうかさえどうでもいいということになります(そもそも効率性を求めてないのだから)。
また、投資対象となっている株式が配当金を出せば、当該投資信託(あるいはETF)もそれに比例するだけの分配金を出して当然ということになります。投資対象から得られるインカムを分配しないで再投資するというのは、投資対象にない機能を投資信託(あるいはETF)に追加しているわけで、投資対象コピー主義からすれば邪道。