個々の期待リターンがr1,r2,・・・,rnであるとして、トータルの期待リターンRを最大化する配分(W)を考えてみます。
R=W1r1+W2r2+・・・+Wnrn
W1+W2+・・・+Wn=1
ここで未定乗数で解いてもr1=r2=・・・=rn=0でWは不定になってしまいます。ゆえにRを最大化するには最も高いrの項をW=100%にすることと考えられます。
ここで時価(すなわちW)をrと時間tの関数で置いてみると、
Wi=exp(rit)/Σexp(rkt)
R=[exp(r1t)r1+exp(r2t)r2+・・・+exp(rnt)rn]/Σexp(rkt)
この場合もRを最大化するには最も高いrの項のみを残したときと考えられます。
また期待リターンを(共)分散に比例すると仮定しても、
ri∝σi^2
R∝W1σ1^2+W2σ2^2+・・・+Wnσn^2
この場合もRを最大化するには最も高いσの項をW=100%にすることです。またこれを時価比率に適用する場合は時価と(共)分散に正の相関がないといけないと考えられます。
【考察】
何を「ベスト(Best)」とするかは人それぞれです。投資においてわかりやすさで考えると、上記のように例えば利益最大になることがベストだとすれば、未来から見て変化率が最大だったものに集中させるのが結果論としてベストになるので、n=2以上の複数に分散した時点でベストは無くなる(私は目的関数はリターンだけとは思っていませんが)。
この考え方がベースと思われる「市場平均(時価総額加重平均)」も、期待リターンの最も高いものに100%突っ込まないと効率的とは言えないように思えます。
資産運用で「ベスト」とか「1番」を考えても仕方がないように思いますが、時価の理屈で言えばベストは「結果的に最もリターンが高かったものに集中投資する」ことになり、複数に分散している限りベストにはなりえず、「永遠のベター(Better)」と感じたのです。晴れた日の青空に永遠が見える感じですかね。
【まとめ】
そもそも統計を上げて(効果的に分散して)アベレージを精度よく抽出するのがインデックス投資の基本と個人的には考えています。進化はしないといけないが分散している時点で「ベスト」にはなりえないのは悩ましいところではありますが。
あまり極端な議論は好ましくないので、中立の立場からマイルドな議論をしたい。「100%」を目指さず、基本的に低コストな分散により、きちんと設計した上で合理的な平均を取れればよいと思っています。
市場平均も時価比率もフリースタイルも、ベストにはなりえない、「永遠のベター」。
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