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1番じゃないとダメなんですか?(リスクとリターンの等価性について)

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1番じゃないとダメなんですか?(リスクとリターンの等価性について)

eMAXISのバランス型のサイトにおもしろい絵があったので引用します。


「バランスファンドは1番にはなれない!?」のタブをご参照ください。「複利ではない」という注意書きがあるので単年の相加平均リターンの「ツイストグラフ」です。(※余談ですが「このような悩みをお持ちのお客さまに…」のタブに8資産均等型の通貨別割合が載っています。)

三菱UFJ投信の主旨は次のように考えられます。
・資産ごとの成績は毎年バラバラである(予測は困難)
・均等型はベストにはなれないけどワーストにもならない(バランス型なら変動が比較的安定)
・頻繁な資産の入れ替えはコスト高(バランス型はキャッシュフローを活用して調整)
・個々のファンドでは時間とともに配分が変わり想定以上or以下のリスクを取りうる
→バランス型が有効な選択肢となりうる

【Introduction】
これをもう少し推し進めて考えてみます。今回の考察のベースとなる考え方は以下の2点です。

◆リスクの低減
・上位の概念
→合成リスクの数学的バックグラウンド
・下位の概念
→分散投資への落とし込み

◆リターンの消失
・上位の概念
→「リスクとリターンの等価性」の数学的バックグラウンド
・下位の概念
→リスクの低減によるリターンの消失の抑制が「リバランスボーナス」

【積み上げプロット】
まず引用先の「ツイストグラフ」の数値を書き出してリターンの大きさを考慮した「積み上げプロット」を描きます。


【リスク低減とリターン消失とノイズキャンセル効果】
上記積み上げプロットから各資産の標準偏差(リスク)、相乗平均リターン(複利)、相加平均リターン(単利)を求め同様に積み上げプロットとして示します。シグマは低い順に、リターンは高い順に上からソートしています。またそれぞれ2本のバーは左が均等型の値を各資産の単純な加重平均で表したもの、右が統計のロジックが反映された実際の運用結果に相当するものです。


【考察】
このプロットからさまざまな知見が得られます。

①「単純平均→相関演算」で均等型のシグマ低減(左端)
分散(相関係数)によるノイズリダクション効果により合成リスクが低減しています。

②「相加平均→相乗平均」で絶対的な数値が低下し相対的な順位にも変動がある(右端と中央)
シグマによる「消失リターン((σ^2)/2)」が現れています。シグマの大きい資産ほど相加平均の喰われ方が大きくなり、例えば新興株は「相加平均→相乗平均」でだいぶ順位を下げています。また均等型は①の分散によりリターンのロスが抑えられグロ株を追い越して順位を一つ上げています。

③「単純平均→相関演算」で均等型の相乗平均リターン向上(中央)
均等型は相関演算によるシグマ低減により、相乗平均の改善、いわゆるリバランスボーナス(ノイズキャンセル効果)が発生しています。順位を変えるほどの変化ではありませんが実際の効果として確認できます。

1番をとるためには成績のよい資産を「事前に」当てなければいけません。しかも相乗平均の最も高いグロR単品ではなく、例えばグロRと新興債の等配分など、複数資産の組み合わせまで考慮して資産と配分を決定する必要があります。

上記①、②、③のように、裏で働いている背景ロジックを使いこなして平均を追求するのがインデックス投資の考え方だと思います。今回のバランス型の結果はそれに合致するものであると考えます。

このプロットを求めたのも、1番を狙って特定資産に突っ込むより、分散によるノイズリダクション効果とノイズキャンセル効果を使いこなしてパフォーマンス(シャープレシオ)を上げるような方向にシフトしませんか、ということを示すためです。なお均等型は平均的によい解になりますが、必ずしもベストを保証するものではありません。

【リバランス放置ポートフォリオとの関係】
リバランスボーナスはあくまで「リバランスポートフォリオの相乗平均が各資産の相乗平均の加重平均より大きくなること」しか言っておらず、リバランスレスポートフォリオのように配分が連続的に変化する場合に対しては言及されていません。例えば「バラ売りvsバランス型ウォッチ(2014/09/30)」のウォッチ期間のように一方的な方向に変動する場合は各資産をフリーにしておく方がトータルのリターンは高くなります。

【まとめ】
このようにバランス型(リバランスによるポートフォリオの維持)には統計に裏付けされたシグマ低減とリターン向上の効果があることが確認できました。各資産単体の「消失リターン」と合わせて、これが「リスクとリターンの等価性」であると考えます。またバランス型はリバランスを手動で行うのに対して課税ロスが発生しないなど優位な面があると思います。

特に、どの資産がどうかなどの具体的な数値は問題ではなく考え方が重要だと考えます。トレンドに流されているだけ、あるいは煽るような内容の情報が溢れている中、考え方を身につけておけば冷静に判断でき、状況に応じて応用や類推も利くからです。

なおこれはeMAXIS8に限られるものではなくスタムidxや世界経済idx等にも適用できる考え方です。ただリバランスボーナスがリバランスコスト(ポートフォリオを維持するためのコスト)で相殺されていないかは気になるところなので今後の課題としたいと思います(→「eMAXIS8資産均等型のリバランスボーナスの確認(2015/02/27)」)。

【誤解の無いように書いておきたいこと】
「1番じゃないとダメなんですか?」

資産形成においては1番でなくていいと思います。「まぐれ」が必要だからです。しかし学業やスポーツや仕事、技術ではNo.1を目指さないといけないことは強調しておきたいと思います。そうしないと進化しないからです(それがなかなか大変なんですが)。

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