以前「
Equal Weighted Index」で『どれが上がるか下がるかわからない→等配分が最も勝率が高い』と書きましたが、ここで言う勝率とは期待値の分散、つまりリスクを小さくするという意味です。これは平均を狙うインデックスにおいて重要な考え方だと思います。
つまり上がった下がったの確率1/2では等配分がリスクを最小化するはずだということが言いたかったのです。
しかしこの時はおそらくそうなるだろうという数学的な経験や感覚で言ったので一般的に証明してみます。
n個の銘柄で等σかつ相関ゼロを仮定します(「上がるか下がるか未来はわからない」ということを個別期待値と標準偏差がそれぞれ等しいと置く)。なお相関がある場合や任意のσの場合は行列が必要になるので日を改めて記事にします。
合成リスクは、
σf^2=W1^2σ1^2+W2^2σ2^2+・・・+Wn^2σn^2
=(W1^2+W2^2+・・・+Wn^2)σ^2
ここでσf^2を最小化するには
f=W1^2+W2^2+・・・+Wn^2
を
W1+W2+・・・+Wn=1 ・・・①
の制限条件で極値を求めることになります(√xが単調増加関数なのでσf^2の極値を求めます)。
ちなみにラグランジュとは解析力学のラグランジュ方程式やラグランジアンの人です。天文学でも宇宙望遠鏡をラグランジュポイント(L2)に置くとかいろいろ出てきます。
①の左辺-右辺(=W1+W2+・・・+Wn-1=0)をgと置いて次の式を定義します。
f'=f-λg (λ≠0)
停留点(微分がゼロになる点)を求めると、
∂f'/∂W1=2W1-λ=0
∂f'/∂W2=2W2-λ=0
・・・
∂f'/∂Wn=2Wn-λ=0
∂f'/∂λ=-(W1+W2+・・・+Wn-1)=0
上のn本の式は、
W1=λ/2
W2=λ/2
・・・
Wn=λ/2
これを(n+1)本目の式に代入すると、
λ/2+λ/2+・・・+λ/2=λ/2×n=1
∴λ=2/n
よって、
W1=1/n
W2=1/n
・・・
Wn=1/n
これは等配分を表します。
このようなポテンシャルの極小化、それもひとつの「ロバスト性」と考えます。実際の市場では銘柄や資産ごとにσも相関も異なるので配分を変えて最適化しようということになります。ただそれはnが多くなると難しいので依然として等配分がベターになると思います。
時価総額加重は単に時価総額が大きいというだけでσや相関の概念なんてどこにもない、金融業界の都合の産物ではないでしょうか。
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