証券優遇税制終了までそろそろタイムリミットです。ところで以下の記事に出てきた数字が気になりました。目先の損得勘定に囚われたくないですが定式化しておきたいので考えます。
「節税を主目的に売却するのは本末転倒だ。慌てて売らず一段の値上がりを待つ方が、20%の税引き後でも得策の場合もある。図Aの例では150万円で売却せず162万5000円になれば、税引き後の利益の手取り額が同じになる」
元本50万円で+200%の利益がある場合にどうしようか悩んでいるようです。正確にはクロス取引ではなく年内に売却するかしないかという話です。
元本をa、現時点までのリターンと譲渡税率をそれぞれr1とZ1、優遇税制終了後のリターンと譲渡税率をそれぞれr2とZ2とします。
【優遇税制終了後売却する場合の税引き後総額】
a+{a(1+r1)(1+r2)-a}(1-Z2) ・・・①
【年内売却する場合の税引き後総額】
a+{a(1+r1)-a}(1-Z1) ・・・②
「優遇税制終了後売却>年内売却」とすると、①>②より、
r2>r1(Z2-Z1)/{(1+r1)(1-Z2)} ・・・③
先日のクロス取引の式ではr1によらなかったのに対してこちらはr1の関数になります。例えば税率が10%から20%になるとしてプロットしてみると、
r1に対して要求されるr2の値が意外と小さく感じます。
ちなみにこれは税率が低いうちに売却してまた買い直すのではなく、売却したらそこで終わりの損得勘定をしているだけなので注意です。買い直すと例の2.25倍という式の方が適用されます。最初の引用部分に書いてあるように税金のためにあれこれするのは本末転倒です。
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